日本野球機構(NPB)は11日、プロ野球で「危険なスイング」をした打者を退場などの処分対象にする罰則を12日から適用することを決めた。この日、都内で行われた12球団との実行委員会で満場一致で決定した。

 山川誠二規則委員長(60)は「ペナルティを課すというよりは、打者に安全意識を高めてもらう、注意喚起という側面が今回は強い」と意図を明かした。

 NPBが「待ったなし」の姿勢で危険スイングによる被害を食い止めに動いた。

 規定では、故意、過失は問わず、すっぽ抜けた場合も危険スイングとなる。ペナルティーは3段階で〈1〉バットが他者に当たらなかった場合は「警告」〈2〉1試合の中で同じ打者が2度目の警告対象になれば「退場」〈3〉バットが他者に向かって体に当たる、またはスタンドなどに入った場合は「即退場」―となる。フォロースルーで捕手に当たった場合は罰則の対象にはならない。

 4月16日のヤクルト―DeNA戦(神宮)でオスナが空振りした際に球審を務めていた川上拓斗審判員(30)の左側頭部にバットが直撃。救急搬送され集中治療室(ICU)で頭部を緊急手術した事故が発端となった。

 事故発生翌日の同17日にNPBは「本件を極めて重大な事案として受け止めており、早急に審判員の安全確保に関する対策について、関係各所と連携しながら、頭部の保護を含めた防護措置の在り方について検討を進めてまいります」との声明を発表した。同18日には球審のヘルメット装着の運用を開始し、今回の罰則規定の起案から運用までは約3週間。迅速な対応だったといえる。

 一方で、今回の規定だけで全ての安全性が担保されたとはいえないだろう。10日の中日―巨人戦(バンテリンD)では中日の木下がスイングした際に捕手の大城の頭部にバットが頭を直撃したケースなど危険なプレーは今季中も散見されているが、今回の罰則適用はあくまでスイング途中でバットを投げ出した(すっぽ抜け含む)場合のみ。

大きなフォロースルーにより、バットが頭部に当たるケースは適用外となった。

 NPB・中村勝彦事務局長は「個人名や、どのシチュエーションが(適用対象になる)という話は出ていないが、フォロースルーで当たった場合はどうなるのか、といった質問は(実行委員会内で)ありました」と説明。山川誠二規則委員長が「議論の中で、それも危険なものじゃないという意見はありました。(フォロースルーを入れるかどうかは)今後の課題となる」とし、危険スイングに認定するプレーの明確化と罰金を科すなど罰則の厳格化については継続して議論していく方針を示した。

 新たな罰則は設けられたが、事故が起きないことが最も望ましい。危険スイングによる退場者が出ないことを願うばかりだ。

 

 ◆今季の試合中に打者のスイングが原因で起こった主な事故。

 ▽4月3日 西武―楽天で深谷篤球審(52)の左手にファウルが直撃し負傷交代。

 ▽同15日 ロッテ―日本ハム戦で深谷球審に折れたバットが直撃し、負傷交代。後に骨折が判明。

 ▽同16日 ヤクルト―DeNA戦(神宮)でヤクルトのオスナが空振りした際に川上球審の左側頭部にバットが直撃。川上審判員は救急搬送され頭部を手術。

 ▽同26日 中日―ヤクルト戦で8回にヤクルトのオスナがスイングした際にバットが捕手・石伊の頭部に直撃。治療後にプレー再開。

 

 ▽5月10日 中日―巨人戦の9回に中日の木下がスイングした際に巨人の大城捕手の頭部にバットが頭を直撃。数分後にプレーを続行。

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