高市首相率いる自民党が圧勝した真冬の総選挙の正当性は、怪しくなる一方だ。2024年の衆院選で鞍替えに失敗し、1年3カ月あまりの浪人生活を経て国政復帰した丸川珠代元五輪相も選挙期間中、公選法違反の疑いが濃厚な「有料動画」を配信していたことが判明した。


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「丸川珠代です」


「衆議院東京都第7選挙区支部長の丸川珠代です」


 イメージカラーの赤ずくめの丸川氏がこう語る動画がYouTubeに流れたのは、総選挙が公示された1月27日午後10時半ごろ。渋谷区内だ。画面左下には広告であることを示す「スポンサー」と表示され、出稿元は「Jimin.jp」と記載されていた。


 公選法は選挙運動のための有料のネット広告を禁じている(142条の6)。資金が豊富な陣営ほど有利になり、金権選挙がはびこるからだ。条文は候補者の氏名や政党、政治団体の名称、それらを類推させるような広告が該当すると規定しており、丸川動画は抵触する可能性が高い。


■夫婦ともども“タダの人”に


 国政返り咲きを期した丸川氏が再挑戦した衆院東京7区は、無党派層が多い港区と渋谷区からなり、前職に主要政党公認の新顔5人が挑む乱戦だった。安倍元首相の声掛けで女子アナから転身した丸川氏は清和会(旧安倍派)入りし、参院選で連続3回当選。知名度を生かして24年に衆院鞍替えを狙ったものの、822万円の裏金づくりがバレて比例重複できず、落選した。ダンナの大塚拓衆院議員(埼玉9区)も裏金994万円のカドで命綱を与えられずに落選。夫婦ともども“タダの人”となったが、再起をかけた真冬の総選挙でともに国政復帰。丸川氏は次点に約2.8万票差、大塚氏は約2万票差で勝ち上がった。


 渋谷区内の動画配信から遡ること9時間前、ミヤシタパーク前で第一声を上げた丸川氏は「456日間無職で活動したので、物価高の厳しさは人一倍身に染みた。子どもが卵を残したらものすごい勢いで怒り、高いものは買えないので一生懸命セールを探して歩いた」と“生活者目線”をアピール。「絶対に政治は国民の暮らしから離れてはいけない、このことを肝に銘じた」と声を張り上げていた。裏金に猛省したふり、庶民に寄り添うふりだったとしたら、相当に度し難い。投開票日の2月8日が迫る中、SNSに〈丸川氏のYouTube広告が流れてくる〉〈広告に幾ら金をつかっているんだろう〉などと書き込まれていた。


 丸川氏の国会事務所に動画配信の経緯などを尋ねたが、「関係各所に確認をする」として期限までに回答はなかった。


 自民をめぐっては、鷲尾英一郎氏(新潟4区)、宮崎政久氏(沖縄2区)両衆院議員の陣営のほか、宮城県連による違法動画広告配信疑惑もある。カネにあかせた大勝だとしたら、「民意の反映」とは言えまい。


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 違法動画広告については日刊ゲンダイがいくつもスクープ報道してきた。関連記事【もっと読む】【さらに読む】などでも詳しく報じている。


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