複数メディアが先週末に実施した世論調査で、高市内閣の支持率は軒並み微減だったが、60%台と高水準を維持している。ところが、SNSでは批判が続出中だ。

2月の衆院選の期間中に、宮城県内の全5選挙区から出馬した自民党候補5人が有料のYouTube広告に出演。公職選挙法違反の疑いがあるとの日刊ゲンダイの報道が急激に拡散されているのだ。


 公選法は、選挙期間中の候補者本人による有料広告のネット配信を禁止している。5陣営に公選法違反の疑いがあるだけでなく、出稿者が自民党宮城県連で、組織的な関与まで分かっている。


 疑惑に対する県連の回答はおおむね「政治活動用有料ネット広告は適法」というものだった。確かに、政党や政治団体の政治活動用の有料広告動画の配信は選挙中であっても許される。しかし、県連の広告動画には候補者本人の顔と名前、選挙区名が大写しされており、政治活動という説明は苦しい。選挙での当選を目的とした選挙活動用の動画にしか見えない。


 さらに、動画の構成や配信手法などを精査すると、実態はどう見ても選挙活動そのものである。


 例えば、動画の組み立てだ。広告動画に出演したのは、いずれも当選した土井亨(1区)、渡辺勝幸(2区)、西村明宏(3区)、森下千里(4区)、小野寺五典(5区)の5氏。全員が冒頭の1~2秒で「宮城〇区の××です」などと自己紹介した直後に「挑戦しない国に未来はありません」と高市首相が語る政党動画に切り替わる。


 ポイントは、全ての動画が冒頭から5秒間は「スキップ」ができない仕様になっていることだ。ネット広告に詳しい業界関係者は、「スキップ不可の5秒間に候補者本人を出して、有権者の認知を得ようとしたのは確実」と言う。


■選挙情勢に沿って広告配信時期も調整か


 また、動画配信を停止した時期がマチマチな点も「選挙活動」であったことをうかがわせる。小野寺氏が公示日から3日後の1月30日、西村氏と森下氏は2月5日、土井氏と渡辺氏は投開票前日の7日だった。


 メディアの情勢調査では、小野寺氏が「安定」で、西村氏と森下氏は「先行」、土井氏と渡辺氏は「接戦」などと伝えられていた。情勢に沿って配信時期を調整したと考えるのが自然だろう。


「恐らく、調整を主導したのは県連と契約を結んだ広告代理店でしょう。県連が示した予算の範囲内でどのように広告を出すか差配したのではないか。安定感のある小野寺氏の広告を早めに打ち切り、より情勢が厳しい他の候補に予算を回す。また、1再生ごとの単価をいくらに設定するか。単価は高ければ高いほど人気のYouTube番組で広告が再生されやすくなります。劣勢の候補は単価を高くし、出稿期間も長期に設定したことがうかがえます」(同前)


 さらに、日刊ゲンダイが広告動画配信の目的や費用に至る詳細を質問したのに、県連がロクに答えなかった点も怪しい。

問題がなければ、堂々と回答すればいいからだ。ある自民党関係者が言う。


「『選挙期間中の有料広告』と聞いただけで条件反射的に『危ない』と感じるのが普通。よくぞ、こんなものに手を出したものだ。選挙の準備期間が短かったから、危険を承知で手を出したのか」


 選挙の公平性を揺るがした恐れのあるこの問題を、国民は軽視してはいけない。


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