【今週グサッときた名言珍言】


「ヤギと歩いてたら、レッドカーペット歩いてた」
 (千鳥・大悟/日本テレビ系「満天☆青空レストラン」5月23日放送)


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 是枝裕和監督の最新作「箱の中の羊」に、綾瀬はるかの夫役でダブル主演を果たした千鳥・大悟(46)。その出演は是枝監督直々のオファーで、「大悟さんが(出演)OKしてくれるなら、(脚本を)書いていける」とまで言われたという。


 是枝が大悟に惚れ込んだきっかけが、実は「ヤギと大悟」(テレビ東京系)。田舎の町をヤギとただ散歩する番組だ。そこで「子どもからお年寄りまでしゃべり方を変えなくて、それでもなぜか許される」人間力に惹かれた。


 カンヌ映画祭にも参加した大悟が語ったひと言が今週の言葉だ。是枝は「今こんな顔した役者、いないでしょう? 人間臭いって言っちゃうと、ありきたりなんだけど、芝居ができそうだなっていうのは直感でしかなかった」(「朝日新聞」2026年5月17日)と評している。


「ヤギと大悟」が始まったのは、21年12月のこと(当初は不定期特番)。この頃、既に千鳥は超売れっ子。彼のもとには数多くの番組の企画書が舞い込んでいたに違いない。テレビプロデューサーの佐久間宣行は、その中から「ヤギと大悟」を選んだ「その選球眼すごくないですか?」(テレビ東京系「伊集院光&佐久間宣行の『勝手にテレ東批評』」23年9月2日)と称賛している。


 大悟は、番組の演出を務める冨田大介から企画を説明され、「とんでもない企画やな。誰が考えたん?」(放送批評懇談会「GALAC」22年9月号)と制作スタッフにとっては、この上ない反応を示してくれたという。


 パートナーであるヤギに「ステキな名前のつけ方するか。

おまえと出会って最初に見つけたお花の名前をつけましょう」(「ヤギと大悟」21年12月28日)と「タンポポ」(途中から「ポポ」と略される)と名付けるロマンチストな一面を見せたり、ポポにみかんを食べさせる時に、さりげなく「農薬ついてない?」と確認する気遣いを見せたり。大悟ファンの年配の女性が「いつ死んでも悔いないわ」と漏らすと、即座に「そんなこと言うなや。もうちょっと生きよ」と返したりしていた。


 保育園では「ヤギちゃーーん!」と子供たちに囲まれ、「今ワシの芸歴で一番いい映像が」と笑う。普段は“無頼の芸人”というイメージの強い大悟も、心根にある優しさがあふれていた。


 さまざまな企画を千鳥流のトガったお笑い番組に染めていき、お笑い界で“天下”を取った大悟。そんな中で炎天下、ヤギとまったり散歩ロケをするという過酷かつ、お笑い色の薄い番組をあえて選んだのは、まさに慧眼だった。お笑い界にとどまらない、国民的タレントへの確かな第一歩となったのだ。


(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)


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