【芸能界ぶっちゃけトーク】


 知人が、ある舞台に出演する俳優の楽屋をたずねるのだが、何か差し入れを持っていきたいと相談されたので、「その舞台の会場近くの薬局でドリンク剤を数ケース運んでもらえばどうか」と答えておいた。


 すると、その知人から連絡があり、「非常に喜ばれた」と報告された。

出演者だけでなくスタッフにも飲んでいただけると評判が良かったらしい。


 実は、舞台や映画の撮影の時など、この手の差し入れは高いものでなくとも、スタッフたちにも回るように考えると、その出演者周囲に“いい顔”ができる。コレ、その昔、ワイドショーの司会を務めていたTBSアナウンサーから教えてもらったことだ。そのアナウンサーは仲の良い俳優の舞台を見に行くと、必ず楽屋に挨拶に行くのだが、六本木にあったいなり寿司の店から、200個、300個と大量に持って行ってたのだ。ちょっとした“おやつ”の代わりになるので、高評価だと言っていた。


 ただ僕には「いなり寿司は私の専売特許だから他のものにしてね」と笑っていた。


 故・松方弘樹さんが仁科亜季子と離婚後、東京・名古屋・大阪の劇場で舞台に出演したことがあり、僕は名古屋公演の際に陣中見舞いに行ったことがある。その時に24本入りのドリンク剤を8ケース持って行った。松方さんは付き人に「すぐに楽屋の入り口に持って行って皆が飲めるように」と指示していた。座長ともなると関係者への気遣いがたいへんなのだ。


 その際、そこへ名古屋のスポンサー筋の人が顔を出した。


「松方さん、すごく高価なドリンク剤を持ってきましたよ」


 この方も「道理がわかっている」。

ドリンク剤を松方さんに手渡すと、松方さんは後に「奥さん」と呼ばれるようになった女性に「オイ、すごいものをもらったから今夜は寝かせないぞ」と声をかけた。すると、その女性は「もう、口ばっかりなんだから」と返して周囲は爆笑だった。


 その「奥さん」は最期まで松方さんのそばにいたが、松方さんにその女性と長く続いている秘訣を聞いてみた。


 松方さんの答えはシンプルだった。


「オレはひとり付き合っている女性がいればいいんだ」


 世界中で釣りをした松方さんだが、その女性は三半規管が強いらしく、船酔いをしない。「それが一番いい」とも言っていたものだ。


 若い頃は「共演しただけで妊娠する」と言われたプレーボーイだったが、僕の「ドリンク剤」にまつわる懐かしい思い出となっている。


(城下尊之/芸能ジャーナリスト)


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