■「自分の撮る写真とは明らかに違う」 5歳の純粋無垢な「あれなに?」を保存
――「5歳の「あれなに?」に運転中は反応できないので一眼レフを渡したら、いい写真ばかりだった」という投稿が話題となっていますが、反響を受けてどのような印象ですか?
「育児中の方々からは、『子どもにはこんなふうに景色が見えているのか』と、新しい発見として受け取っていただけたのかなと思います。また子育て世代でなくても、すべての大人に子どもだった時代があるので、『自分も5歳の頃、こんなふうに世界を見ていたのかもしれない』と、懐かしく感じてくださる方も多かったのではないかと思いました」
――お子さんに一眼レフを渡してみようという発想になった経緯を教えて下さい。
「2歳上の兄も一眼レフで写真を撮ることもあるので、子どもにカメラを渡すこと自体のハードルは、もともとあまり高くありませんでした。兄のときには、キッズカメラや使わなくなったスマホなど、いろいろ試したこともあります。ただ画質があまり良くなくて、印刷すると粗さが目立ちましたし、本人もあまり満足していないようでした。その経験があったので、5歳の次男にはすぐ一眼レフを渡しました」
――お子さんにはどのように伝え、一眼レフを渡したのでしょうか?
「『“あれなんだろう?”と思ったものがあったら、シャッターを押してごらん』と伝えました。私は運転中で前しか見られないので、『あとで一緒に写真を見ながら、何を撮ったのか教えてね』と話して渡しました」
――実際に撮影された写真をご覧になって、どのように感じましたか?
「最初に見たとき、倉庫のシャッターを撮った写真だったのですが、自分の撮る写真とは明らかに違うと感じました。
私自身、大学で写真史などを学んでいて、写真を見ることも好きなのですが、理屈を抜きにして、純粋に“いい写真だな”と思いました」
■「記憶や感覚は、本人も親も、少しずつ忘れてしまうから」
――今回の取り組みを実際に行ってみて、よかった点や新たに気づいたことがあれば教えてください。
「5歳の子どもが普段どんなものを見て、どんなことに惹かれているのかを知ることができたのが、いちばんよかったです。5歳の頃の記憶や感覚は、本人も親も少しずつ忘れてしまうものだと思うので、たまたまではありますが、その時期の視点を写真として残せたことは、とてもよかったと思っています」
――撮影した写真を見返しながら、「あれは何だったのか」を教えてあげる形なのでしょうか?どのように振り返りをされているのかなどがあれば、教えてください。
「毎回200枚くらい撮るので、まずはブレているものや重複しているものなどを除いて、40枚前後まで絞ります。その中から、子どもと一緒に『これはなんで撮ったの?』『このとき何を思ったの?』と話しながら見返しています。その後、お気に入りの写真を8枚くらい選んで、そこに添える言葉を本人と一緒に決めています。まだ小さいので、本人が『こう書きたい』と言った文字のお手本を用意することもあります」
――今後、お子さんを育てていくうえで、大切にしていきたいことがあれば教えてください。
「子どもたちが『やってみたい』と思ったことを、これからもできるだけ手伝ってあげたいです。
そして、いつか本人たちが本当にやりたいことを見つけたときには自分の力で道を切り開いて、親が抱え込むのではなく、きちんと手を離して応援できるような関係でいたいです」
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