仕事の能力は同じでも、評価される人と、されない人がいる。違いは何か。
マナー講師の松原奈緒美さんは「どれだけ仕事ができても、コミュニケーションが不足していると正当に評価されないことがある。例えば、依頼されたタスクの完了後。たった一言があるかないかで印象は大きく変わる」という――。
※本稿は、松原奈緒美『信頼される人がやっている ビジネス基本のふるまい事典』(かんき出版)の一部を抜粋・再編集したものです。
■社員の満足度が高い職場の共通点
仕事を円滑に進める上で、日頃から社内会話を意識することは、職場の意思疎通や情報共有をスムーズにし、仕事の効率化や生産性向上に寄与します。
社内コミュニケーションがうまくいっている会社は、従業員同士の人間関係も良くなり、ES(従業員満足度)向上につながります。
「では、会社が取り組んでくれればよい」
そんな考えを持つ方もいるかもしれません。しかし、社内コミュニケーションは、上司が指示すれば良くなるものではありません。全員で協力して築いていくものです。
本稿では、読んだらすぐに活用できる社内会話のコツを『信頼される人がやっている ビジネス基本のふるまい事典』(かんき出版)から職場で日常的に遭遇する5つのシーンに分けてお伝えします。
・上司から指示を受けたとき

・ミスをしたとき

・上司が忙しそうなとき

・タスクが完了し、手が空いたとき

・お願いした業務をやってもらったとき
■上司の指示に「はい」とセットで伝えるべきこと
指示を的確に受けるためには、実は「はい」という返事だけでは不十分です。
「部下が『はい』と返事だけは良いが、指示をまったく理解していない」という上司のお悩みをよく伺います。

的確に理解して、仕事を指示どおりに進めるためには、理解のすり合わせが大切なのです。
人は、忘れる生き物です。指示されたことを的確に理解するためには、まずメモを必ずとりましょう。指示を受けるときには、メモするもの(メモ用紙・ペン)などを持参して指示を受けるとよいですね。
なお、近年スマートフォンでメモをとる方もいますが、突然、上司の目の前でスマートフォンを出すと、不躾な印象を与えることがあります。基本はアナログメモです。会社で許容されている場合は、「スマートフォンでメモをしてもよろしいでしょうか」と一言確認するとよいですね。
指示を受けたら、必ず復唱確認をしましょう。もし理解が不十分な場合は、ここで相手が指摘してくださいます。
また、疑問はその場で解消することが大切です。わからないことは、必ず質問してください。わからないまま進めてしまうと、ミスや時間のロスが発生し、周囲にご迷惑をおかけすることがありますので、注意してください。

■ミスをしたときに伝えるべき“4つの項目”
ミスなく仕事をしたいと思っていても、誰でも心ならずもミスをしてしまうことはあると思います。ミスの報告は、仕事の中でもっとも気の重い報告ですね。
気の重い仕事ほど早く行うことが大切です。ナポレオン・ボナパルトの名言で「良い報告は朝でもよい。悪い報告は即刻我を起こせ」という言葉があります。報告が遅れると、上司であるナポレオンが適切な指示を出せず、戦況に影響するからです。
報告を先送りにすることは、デメリットしかありません。
主なデメリットは、
・問題が悪化する

・相手に信頼されず、自分の評価が下がる

・自分または周囲の業務が増える
などが挙げられます。
誰が報告するかも重要です。必ず、自分で報告してください。これは、仕事に責任を持つとともに、情報が的確に伝わるようにするためでもあります。
伝える構成は「用件」「ありのままの事実」「謝罪」「今後の対応」です。
特に事実を伝える際に、自分の感情が前に立つと、言い訳のような印象を与えることがあります。言いにくいことほど、用件や事実から冷静に、誠実に伝えましょう。
■「忙しそうだから後回し」はNG
早めに報告する必要があることはわかっているけれど、上司が忙しそうだと気を遣い、躊躇してしまうこともあるでしょう。
気遣いは大切ですが、急ぎの報告は、早く伝えなければなりません。
そのようなときには、急ぎであることがわかるように伝えるとよいですね。
例えば、「○○さん、▲▲の件で、急ぎの報告があります。今お時間よろしいでしょうか」というように伝えると、用件の優先順位が高ければ、上司は優先度に合わせて対応くださいます。
それ以上に優先度の高い仕事を抱えている上司は、それでも「忙しいから後にして」と言うかもしれません。
そのようなときには、
「ご都合の良いときに、お声がけいただけますか」

「何時頃にお声がけすればよろしいでしょうか」
などと伝え、対応が遅延しないように状況を見て再度お声がけするとよいですね。
また「一旦メールでもお送りします」などと、ほかの通信手段との合わせ技で伝えると、隙間時間に確認いただける場合があるので効果的です。
その場合も、のちほど口頭で確認をしましょう。伝わって初めて報告が完了です。

■評価される人は“3つのこと”を意識している
職場で求められる姿勢のひとつが「主体性」です。
「与えられた仕事は全うするけれど、常に指示待ち」では、上司が部下の状況を注視し続け、終わったタイミングで指示を出さなければならないため、負担に感じます。
評価の面でも、受け身で積極的に仕事をする意欲が低い印象や、いつまでたっても仕事ができるようにならないなどのネガティブな評価をされがちです。
指示待ちを脱するには、
・指示されたこと+αを常に考える

・状況判断する意識を持つ

・相手やチームが「何を望んでいるか」を考える
ことを意識し「先手の気遣い」を心がけるとよいですね。
とはいえ、何をするべきかわからないこともあると思います。
そのようなときには、完了報告とともに、「次は何をしましょうか」「お手伝いできることはありますか」「よろしければ~しましょうか」などとお声がけするとよいでしょう。
この一言があるだけで、前向きで主体性がある印象を与えることができます。
■感じがいい人の“言葉がけ3つ”
仕事を互いに気持ちよく進めるためには、潤滑剤となる「言葉」が大切です。
日常業務や、担当範囲の中で、やって当たり前の仕事であっても「ありがとうございます」と言われると、誰でも気持ちが良いものです。
仕事の上では互いに、
・業務を行う側は「業務を遂行して当たり前」

・周囲の方は「業務をやっていただいている」
という意識で臨むと、互いに謙虚さと感謝を持った社内コミュニケーションを図っていくことができるでしょう。
特に、次の3つの言葉がけを意識してみてください。
・業務を依頼する際は「○○をお願いします」

・依頼されたら「○○ですね。
承知しました(かしこまりました)」

・業務を行っていただいたら「ありがとうございます」
当たり前の言葉ですが、意外にこのような言葉が不足している職場が多いものです。
仕事はチームで行っています。互いの存在承認を意識し、言葉でしっかり表現するようにできるとよいですね。

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松原 奈緒美(まつばら・なおみ)

コミュニケーション・マナー講師、EXSIA社長

マナー・コミュニケーション領域の専門家。同領域で企業などをサポートする「株式会社EXSIA(エクシア)」代表取締役。NPO法人 日本サービスマナー協会 ゼネラルマネージャー講師として、「マナー講師養成講座」「プロフェッショナルマナー講師養成講座」など、後進講師の育成や講師認定試験官も担当。著書に『信頼される人がやっている ビジネス基本のふるまい事典』(かんき出版)がある。

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(コミュニケーション・マナー講師、EXSIA社長 松原 奈緒美)
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