▼第1位 朝はご飯と味噌汁、昼はおにぎり、夜は芋とご飯になる…高市首相の「食料自給率100%」が愚策といえるワケ
▼第2位 現役医師「このままでは国民皆保険が崩壊する」…高市政権がこっそり進めている「医療制度改革」の黒い目的
▼第3位 「世界で戦える日本企業」がトヨタ以外にもある…自動車でも半導体でもない「海外企業が評価する最先端技術」
日本の食料安全保障を語る際、錦の御旗として掲げられる「日本の食糧自給率をカロリーベースで100%に」という目標。その理想は本当に国民を幸せにするのだろうか。現役農家のSITO.さんは「耕地面積が狭く、飼料や肥料を輸入に頼る日本でカロリーベース自給率100%を目指すと貧しい食事になる恐れがある。それよりも『食糧自給力』を高めるべきだ」という――。
■食料自給率100%を掲げる政治家
「日本の食料自給率を100%にするべき」という意見がよく見られるようになりました。例えば、以前から参政党は公約に「食料自給率100%」を掲げ、特にカロリーベースでの完全自給を目指すべきだと主張し続けています。その背景には、国民の生命を守るためには、輸入依存から脱却し、国内生産を最大化することが必要だという考えがあるようです。
一方、自民党においては、公式の政策目標には記載されていないものの、高市早苗内閣総理大臣は、2025年の総裁選時に「食料自給率100%に限りなく近づける」ことを政権公約に掲げ、今年2月にも食料安全保障の重要性から「カロリーベース自給率100%を目指していきたい強い思いがある」と述べています。
確かに、どの国においても食料自給率は大切です。自分たちの食べるものを自分たちで用意できるか否かは、食料安全保障の根幹となる部分だといえるでしょう。農業生産にかかる肥料や農薬等の資材や農業機械が高騰し、毎年のように異常気象に見舞われる今、食料自給率への注目度は年々高まっていると感じます。
■食料自給率には複数の指標がある
ただし、ここで注意すべきは「食料自給率を上げる」ことと「カロリーベースで食料自給率100%を目指す」ことは、必ずしも同じ意味ではないという点です。
そもそも、ひとくちに「食料自給率」と言っても、じつはさまざまな種類があり、以下の2つが代表的です。
・カロリーベース自給率:国民が摂取する総カロリーのうち、国内生産で賄える割合
・生産額ベース自給率:食料の金額ベースで見た自給率
日本の現在のカロリーベース自給率は38%で、生産額ベース自給率は64%です。穀物生産の盛んなカナダやオーストラリアではカロリーベースが100%を大幅に上まわる一方で、比較的付加価値の高い品目を生産する国は生産額ベースが伸びる傾向にあります。日本のカロリーベース自給率は低く思えますが、生産額ベースだとさほど低く思えないでしょう。どの指標を採用するかによって、「自給率が高いのか低いのか」という印象自体が変わってしまうのです。
■カロリーベース自給率の問題点
日本では主にカロリーベース自給率が注目されていますが、野菜や果物、魚などは、生産額が高くてもカロリーは低いため、この指標では過小評価されやすいという欠点があります。つまり、カロリーベース自給率の最大の問題は、「カロリーさえ満たせばよい」という発想に陥りやすい点です。
仮に日本がカロリーベース自給率100%を目指すとしましょう。現在の日本の農地面積や生産構造を前提にすると、最も効率よくカロリーを摂取できる作物――コメや小麦、イモ類などに偏る可能性が高くなります。極端な例を挙げれば、1日の食事が、以下のように炭水化物中心の極めて単調なものになる可能性があるのです。
朝:白米と味噌汁
昼:おにぎり
夜:芋とご飯
なお、日本が畜産に必要な飼料の多くを輸入に頼っていることを考慮して計算すると、肉や卵、乳製品の摂取量を大幅に減らさなければ、カロリーベースでの自給率100%達成は不可能です。
■平時偏重の指標であるという問題
もう一つの問題は、カロリーベース自給率は、あくまで平時の日本における生産および消費の構造に基づいて計算されている点です。
実際、有事においては、生産も消費も大きく変化します。もしも戦争や大規模な災害が起こって輸入がストップした場合、多くの人々は嗜好性の高い食材ではなく、より保存性が高くカロリーの高い食品を摂るようになるはずです。少なくとも、平時とは食生活が変わることは間違いありません。例えば、コメや小麦製品、芋類がメインとなり、タンパク質は豆類から、野菜は漬物が多くなると考えられます。
それに応じて、農業も作付け品目を変える必要が出てきます。戦時中に芋類が積極的に栽培されたのと同じ理由で、肥料があまり必要なく保存性の高いサツマイモやジャガイモを中心とした生産に変わっていくかもしれません。
つまり、本当に重要なのは「今の食生活をそのまま維持できるか」ではなく、「非常時にどれだけ柔軟に生産と消費を切り替えられるか」なのです。
■日本に国内完結型が向かない理由
そもそも日本は、食料需給を国内で完結させるには構造的な制約が大きい国です。
第一に、農地面積の制約があります。日本の耕地面積は約440万ヘクタールに過ぎず、人口規模に対して極めて限られています。
第二に、日本は典型的な資源輸入国です。農業生産そのものが、以下のような輸入資源に依存しています。例えば、飼料用トウモロコシのほとんどを輸入に頼っていて、その前提で畜産が成り立っています。これが途絶えれば、国内で肉や卵を生産すること自体が困難になるでしょう。
・飼料(トウモロコシ・大豆など)
・肥料原料(リン・カリなど)
・農薬
・燃料(トラクターや輸送)
第三に、日本は世界有数の災害大国です。地震、台風、豪雨などにより、特定地域の農業生産が一時的に壊滅するリスクが常に存在します。国内だけで完結させようとすればするほど、このリスクは分散されず、むしろ集中してしまうのです。
■「食料自給力」を高めることが重要
では、日本はどのような食料政策をとるべきでしょうか。単に「自給率100%」という目標を掲げるのではなく、複数の手段を組み合わせた現実的な戦略が必要です。
まず、国内農業への適切な支援により、生産基盤を維持・強化することが重要です。ただし、それは無理にすべてを国内で賄うという意味ではありません。
さらに、輸入先の分散や国際関係の強化によるリスクヘッジも重要です。一国依存ではなく、多様な供給源を確保することで、安定性が大きく向上します。加えて、輸出の強化も一つの戦略です。平時に輸出できる競争力を持つことで、有事にはそれを国内向けに振り替える「バッファー」として機能させることができます。
こうした取り組みを総合すると、目指すべきは「食料自給率」という静的な指標ではなく、「食料自給力」という動的な概念であるといえるでしょう。すなわち、有事の際にどれだけ迅速に国内生産を拡大し、国民の生命を支えられるか。その柔軟性と持続性こそが、真の食料安全保障の核心であると私は考えます。
(初公開日:2026年4月20日)
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SITO.(シト)
農家、農業ライター
1993年、愛知県生まれ。キャベツとタマネギを栽培する露地野菜農家で、農業ライター。就農前から日本農業の諸課題に関心を持ち、生産現場の知見と幅広い農業情報を融合しながら「農業とそれに携わる人たちの持続可能な社会」を模索し続けている。
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(農家、農業ライター SITO.)

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