光明見えぬJリーグ屈指の名門…6戦未勝利の裏に見える「大きな3つの不調要因」
光明見えぬJリーグ屈指の名門…6戦未勝利の裏に見える「大きな3つの不調要因」

横浜F・マリノスは16日、明治安田J1リーグ第11節で清水エスパルスと対戦し、2-3で敗れた。これでリーグ戦は6試合勝利なしの18位。

試合後には涙を流す選手の姿もあった。

近年優勝争いをしてきたF・マリノスに、これまでにない暗雲が立ち込めている。

この試合も前半は良い内容であった。相手の攻撃陣がターンオーバーをしているのもあり、なかなか流れが掴めていない中でうまくボールを繋ぎ、前半の29分には植中朝日の落としから遠野大弥が先制点をもぎ取った。

この試合最前線の位置で出場した2人は今シーズン、献身的なプレスや得点面で獅子奮迅の活躍を見せており、この試合でも良い動きが目立っていた。

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遠野大弥

ただ、後半になるとスタミナの消耗からか動きが鈍くなったところを突かれ、追加点を取ったものの3点取られて逆転負け。苦しい展開であった。この不調の要因は主に3つ挙げられる。

早急に改善すべき「サイド」の守備

この試合もそうだがここ数試合守備の崩壊が目立ち始めている。ここ3試合で8失点。セットプレー、ビルドアップミスからなどここに来て守備の課題が山積み状態。だが、まず第一に改善すべきはサイドの守備だろう。この部分に関しては、インターナショナルマッチウィーク明けのファジアーノ岡山戦からほぼ改善が為されていない。

ここまでの試合、F・マリノス戦で対戦相手がよく使うのがサイドチェンジのボール、特にF・マリノスの右サイドから左サイドへのボールだ。左サイドバックの永戸勝也は守備時に比較的中に絞るポジションを取っている。スペースを埋める守り方をするスティーブ・ホーランド監督の思惑なのだろうが、この状態だと必然的にサイドの選手がフリーになる。

このボールに対してプレスに行くのが、主にサイドハーフの選手。さらにボランチの選手が加担して囲んでボールを奪いに行く。毎度の試合、この守り方で前半はなんとかやり過ごしているが、効いてくるのが後半である。この形を続けていると、連戦の疲労も蓄積して強度が落ちてくる。試合が終盤になるにつれサイドを突かれやすくなるのはこの疲労が故である。

現在Jに所属する大方のチームは、サイド突破に強みを持った選手を持つ。F・マリノスのようにラインが低く設定されているチームと対戦時、その選手の持ち味であるドリブルで侵入された場合、少し運ぶだけで決定機になる。

このような場面を防ぐためにも、現在F・マリノスに揃っている選手であれば、ディフェンスラインを低く設定するよりもハイラインにシフトチェンジした方が良いと考える。

まずは供給場所を潰すという点で、プレスが肝心になる。

現在の状態でハイプレスに出ると、中盤に広大なスペースができてしまい、中央から相手に自由に展開されてしまう。ラインを押し上げ、前からボールを奪いに行き起点を作らせないのが第一。

また、F・マリノスのセンターバックにはジェイソン・キニョーネス、サンディ・ウォルシュ、諏訪間幸成といったスピードとカバーリングの技術を兼ね備えた選手がいる。ハイラインの背後を突かれてロングボールを蹴られた場合でも、状況判断力に優れたキーパー朴一圭もいる。ハイラインを試してみても面白いだろう。

セットプレーはマンツーマンよりもゾーンで守ったほうが良いと感じる。岡山戦、川崎戦、名古屋戦はマンマークをうまく剥がされての失点。基準点を味方とボールに設定するゾーンにすることでマークのずれが生じにくくなるため、コーナーからの失点を減らすための対策として有効だ。

アイデア任せの攻撃状況打破の糸口は

攻撃に関して言えば、戦術が定まっていない印象を受ける。

開幕から数試合は後ろでボールを回しているだけの状態の時間が多かったり、ロングボールをアンデルソン・ロペスに送るだけなどあまりにも策がないというのが率直な感想だった。徐々に点は取れてきてはいるが、遠野や植中、ヤン・マテウスの個人技や能力に頼っている部分が多いのは否めない。

また、ビルドアップ時に選手がボールホルダーに寄りすぎて、サイドや間のスペースに走り込んだりする選手がいないのもあるだろう。近年のF・マリノスのように2列目や3列目からアクションを起こす選手が増えてくれば、攻撃ももっと活性化していくはずだ。

ただ、直近の試合後インタビューで選手たちが攻撃に関して口にしていたのが、監督から攻撃の具体的な策が打ち出されていないということ。つまり、ピッチ上の選手のアイデアに一任するということであろう。

しかし明確な攻撃パターンがない現状を見ると、ホーランド監督が策を打ち出す必要があると感じる。具体的でなくてもホーランド監督が攻撃の決め事を1つでも決めておけば、高いサッカーIQと能力を持つ選手が多いので、改善が期待できる。

昨季までのような攻撃取り戻すための策は、注目すべき点の一つである。

疑念が晴れぬ交代枠の使い方

そして最後に疑問なのが交代枠の使い方だ。サポーターの中でもよく話題となり、清水戦終了後のインタビューでもリポーターから質問されていた。

開幕からの試合を見て、ホーランド監督の状況判断力が少し足りないのではないかと感じる。

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スティーブ・ホーランド監督

どの試合も必ず展開と状況は変わってくる。例えば清水戦のような試合であれば、早いタイミングでサンディ・ウォルシュや山村和也を投入して守備を固めたり、前々節のアビスパ福岡戦ならセンターのアンデルソン・ロペスのところにうまくボールが収まっていなかったので、ボールをうまく引き出せる遠野をセンターへ配置。サイドに東京ヴェルディ戦で僅かな時間の出場ながらインパクトを残した松村晃助を投入して攻撃のバリエーションを増やすなど試合ごとに違った選択が求められる。

選手のコンディションなどの面で難しい部分はあるだろうが、後半アップしている選手の数が1人2人の状況から少し選手のモチベーション自体が下がっているように見える部分もあり、このような交代の部分にも一工夫加えてほしいところだ。

横浜F・マリノスは次節、20日(日)に浦和レッズとアウェイで対戦。25日(金)のACLEアル・ナスル戦に向けて勝手弾みをつけたいところだ。

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