中国で、ホテルなどで使用される使い捨て歯ブラシの製造現場の不衛生な実態が暴露され、物議を醸している。

中国国営の中央テレビ(CCTV)番組・財経調査によると、江蘇省揚州市の廃品回収所では、化学薬品が入っていた白い容器、家電から取り外した古いパネル、扇風機のカバー、使い古されたローラースケート靴などさまざまな廃プラスチックが積み上げられていた。

作業員は「簡単に粉砕された後、各種プラスチック製品の加工工場へ送られ、そのうち相当数が歯ブラシに使われる」と明かした。

化学薬品用の廃容器にはさまざまな残留物が付着しているが、洗浄されることなくそのまま外部へ運ばれ、粉砕・加工される。現場の作業員は「顔料を加えて着色すれば、廃プラスチック原料の汚れた外観は隠せる」などと話したという。

また、同市江都区の別の工場ではプラスチックシートや肥料袋、ごみ袋、ロープなどが洗浄や消毒を行わないまま、高温処理と簡易なろ過のみで再生プラスチックに加工されていた。作業員は「原料の色むらを隠すため最終的に黒色に着色して販売している」と説明し、こうした低価格の再生原料は新品のプラスチックに混ぜて使用されることが多く、歯ブラシメーカーのコスト削減につながっていると明かした。

同工場ではさらに、マスクや医療用防護服の製造過程で発生した不織布や防護服の端材も回収して、歯ブラシ用のプラスチック原料として再利用していた。業者によると、これらの主成分であるポリプロピレンは歯ブラシの柄と同じ素材で、再生原料に加工すると利益率が高い。また、別の工場ではスリッパ製造時に出る端材が原料として使われていたそうだ。

揚州市広陵区の工場では、ホテル向けの使い捨て用品を生産している。原材料価格の上昇圧力を回避するため、多くの小規模工場が低価格の再生プラスチックを大量に使用し、新品の原料と混ぜて歯ブラシを生産している。原料の配合比率は、歯ブラシの販売価格に応じて柔軟に調整されているという。

記事は、「プラスチック粒子は高温で溶融された後、金型による成形を経て歯ブラシになる」としつつ、「高温処理によって細菌を死滅させることはできるものの、再生プラスチック原料の成分は極めて複雑だ。

化学薬品用の廃容器、古い歯ブラシの柄、スリッパの端材、靴べら、ごみ袋などが含まれており、高温で殺菌はできても、複雑な化学成分そのものを変えることはできない」と指摘した。

メーカーも、再生原料の品質は「運次第」だとし、これまでにも品質が悪く、使用中に折れるなどの問題はたびたび発生していると認めた。プラスチックは再生利用されるたびに不純物が増し、品質も劣化していく。こうした安全面や衛生面に問題のある歯ブラシの多くは、主に小規模ホテルや民宿に供給されているという。

予防医学や環境科学の専門家である潘小川(パン・シャオチュアン)氏は「繰り返し再生されたプラスチックは成分が複雑で、高温で溶融・加工される過程で新たな有毒・有害物質が生成される可能性がある」と指摘。「使い捨て歯ブラシは使用時に直接口腔内に接触するうえ、口腔(こうこう)粘膜は透過性が高く毛細血管も密集している。歯磨き粉に含まれる界面活性剤の作用も加わることで、原料中のさまざまな有害物質が人体に浸透しやすくなり、長期間の使用によって健康リスクをもたらす恐れがある」としている。(翻訳・編集/北田)

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