ジャズやクラシック、ボサノヴァといったルーツを大切にしながら、ジャンルの枠にとらわれない「ニュー・クラシカル」な魅力で高い評価を獲得しているアイスランド出身の新世代シンガー・ソングライター、レイヴェイ(Laufey)。

本年度のグラミー賞受賞作となった最新アルバム『A Matter of Time』を携えたワールドツアー「A Matter of Time Tour」の東京公演が、6月5日(金)に東京ガーデンシアターにて開催された。
レイヴェイならではの世界観が存分に表現され、満員の観客を魅了した本公演のオフィシャル・ライブレポートをお届けする。また、公演の余韻に浸ることができるセットリスト・プレイリストも各種音楽配信サービスにて公開中。ぜひライブの感動とともに楽しんでほしい。

レイヴェイが満員の東京ガーデンシアターを魅了、ミュージカル風の五幕構成で届けた夢のようなステージ


「クラシックは、かつてポップミュージックのようなものだった」。その主張をみずから実証していっているスターこそ、レイヴェイだ。

「Z世代のジャズ・アイコン」と呼ばれるレイヴェイは、ちょうど全盛期を迎えている。ミラノ五輪でアリサ・リュウ選手の金メダル演目に楽曲「Promise」が使用され、最新アルバム『A Matter of Time』で二度目のグラミー賞に輝いたばかり。音楽界ではビリー・アイリッシュからバーブラ・ストライサンドまで幅広い支持を得ている存在だが、今回の東京公演にも若年層から年長層まで幅広いファンが集まっていた。

中国系アイスランド人として幼少期よりピアノやチェロ、ジャズの訓練を積んできたレイヴェイの魅力は、古典の技術力とモダンな歌詞の融合にある。恋心の暴走や既読スルーといった若い女性としての感情をクラシカルポップな音色に乗せることで、クラシック音楽に馴染みのない層の心もつかんできた。

忘れてはならないのが古典ミュージカルの影響だ。痛切な歌詞でも、クラシック演奏が生み出すロマンチックな音響に乗ることで、おとぎ話のような世界観に包まれる。
「ラヴァーズ(Lauvers)」と呼ばれる熱心なファンたちも、リボンや王冠、お姫様風のワンピースに身を包んで来場していた。

レイヴェイが満員の東京ガーデンシアターを魅了、ミュージカル風の五幕構成で届けた夢のようなステージ


オーケストラ同伴となった「A Matter of Time Tour」は、ミュージカル風の五幕構成。アルバムのテーマ「崩壊の時間が迫るシンデレラ」のもと、階段セットや夜景、お城の背景映像など、英ロイヤル・バレエ団から着想を得たドリーミィなステージが広がっていた。

世界観を完成させる存在は、ピンクのプリンセスドレスで登場したレイヴェイ。暑いアジアツアーにあわせたショートカットが初披露された。

開幕早々、歌詞に東京が登場する人気曲「Lover Girl」でオーディエンスの合唱が自然発生(ミュージックビデオも東京で撮影されている)。つづく「Falling Down」でも観客と声を重ねた。「みんなと一緒に歌えるクラシカルなポップソング」を目指すアーティストとして、感慨深い瞬間だったに違いない。

レイヴェイが満員の東京ガーデンシアターを魅了、ミュージカル風の五幕構成で届けた夢のようなステージ


第二幕は「東京ジャズクラブ」。小規模なジャズバンドとのクールで親密な空気のなか、音源では聴けないスキャットも披露された。

MCも印象的だった。「クラブ」は禁煙だがバーチャル寿司は楽しめるとジョークを飛ばし、マスコットのうさぎのメイメイも着ぐるみで登場するなど、チャーミングなトークによって、大会場にもかかわらずジャズバーのようなリラックスした雰囲気を届けてくれていた。


遊園地風セットの第三幕は弾き語り。ポップ音楽に少ないアルトボイスゆえにジャズに進んだ経緯を持つレイヴェイだが、バラード「Forget-Me-Not」では高音と低音を美しく溶け合わせ、会場を静かに聴き入らせていた。

バレリーナたちが踊るインタールード「Cuckoo Ballet (Interlude)」では、本人は歌わずチェロを演奏。歌も楽器もこなす多才さがあってこその贅沢な没入演出だった。

レイヴェイが満員の東京ガーデンシアターを魅了、ミュージカル風の五幕構成で届けた夢のようなステージ


後半はとにかくゴージャス。アリサ・リュウやKATSEYEのメーガンらアジア系スターが集結したMVで話題の60年代風セクシーソング「Madwoman」を筆頭に人気曲がつらなるなか、ダンス歌唱からチェロ、ピアノ演奏までをまたぐマルチスターぶりを発揮。ブレイクヒットのボサノヴァ「From The Start」では歌詞をアレンジして東京への愛を伝え、大合唱と大歓声が巻き起こった。

最大の衝撃は、ラストを飾った「Sabotage」。オーケストラとバンドの厚みを得て、レイヴェイの叫びとともに落雷のような轟音が会場を直撃した。

じつは、この曲こそ『A Matter of Time』の核心。ひび割れるボーカル、不協和音のピアノ、轟くドラムとストリングス──クラシックの「正解」を壊すことで、伝統の枠から踏み出す現代アーティストとしての進化を示しているのだ。この夜の演奏こそ、優雅で誠実なレイヴェイ・サウンドの到達点だった。


アンコールは、白人だらけの環境で孤独を感じていた少女だった自分へ贈る「Letter To My 13 Years Old Self」。ポップ界と異なりアジア系女性が活躍していたクラシック界へと進んだレイヴェイは、今や唯一無二のクラシカル・ポップスターとして立っている。

古典音楽の魅力を広めるのみならず、財団を通じて青少年オーケストラを支援にも励んでいるレイヴェイ。日本会場で一人のファンが掲げていた「あなたのおかげでチェロを始めた」というメッセージは、彼女が紡いできたおとぎ話の幸せな結末のようだった。

レイヴェイが満員の東京ガーデンシアターを魅了、ミュージカル風の五幕構成で届けた夢のようなステージ


Photo by Nicole Mago

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レイヴェイ来日公演セットリスト・プレイリスト
https://LaufeyJP.lnk.to/AMOTTSETLIST

レイヴェイが満員の東京ガーデンシアターを魅了、ミュージカル風の五幕構成で届けた夢のようなステージ

レイヴェイ
最新アルバム『A Matter of Time: The Final Hour(ア・マター・オブ・タイム:ザ・ファイナル・アワー)』
発売中
日本盤:BSCD2、歌詞、対訳、解説付き、日本限定ジャケット仕様
再生・購入:https://Laufey.bio.to/AMOFTFH

【収録曲】
1. Clockwork クロックワーク
2. Lover Girl ラヴァー・ガール  
3. Snow White スノー・ホワイト
4. Castle in Hollywood キャッスル・イン・ハリウッド
5. Carousel カルーセル
6. Silver Lining シルバー・ライニング
7. Too Little, Too Late トゥー・リトル、トゥー・レイト
8. Cuckoo Ballet (Interlude) カッコウ・バレエ(インタールード)
9. Forget-Me-Not フォゲット‐ミー‐ノット
10. Tough Luck タフ・ラック
11. A Cautionary Tale ア・コーショナリー・テイル
12. Mr. Eclectic ミスター・エクレクティック
13. Clean Air クリーン・エアー
14. Sabotage サボタージュ
15. Seems Like Old Times シームズ・ライク・オールド・タイムズ
16. Madwoman マッドウーマン 
17. How I Get ハウ・アイ・ゲット
18. I Wait, I Wait, I Wait アイ・ウェイト、アイ・ウェイト、アイ・ウェイト
19. Ill Forget About You (In Time) アイル・フォーゲット・アバウト・ユー (イン・タイム)
国内盤のみのボーナストラック
20. Silver Lining (Live from Tokyo) シルバー・ライニング (ライヴ・フロム・トーキョー)
21. Snow White (Live from Tokyo) スノー・ホワイト (ライヴ・フロム・トーキョー)

レイヴェイ日本公式サイト
https://www.sonymusic.co.jp/artist/Laufey/
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