深セン証券取引所のメインボードへの上場を目指している、内蒙古欧晶科技(001269/深セン)が当初8月30日に予定していた、新規公開(IPO)に向けた公募を9月21日に延期した。3436万株を発行予定で、公募価格は15.65元。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2011年設立の民営企業で、15年に株式会社化した。太陽光発電用単結晶シリコンインゴット・ウエハー産業向けに、石英るつぼ製品やシリコン材料洗浄サービス、切削液処理サービスなどを提供しており、国内外の単結晶シリコンウエハーメーカーと長期的、かつ安定的な提携関係を持つ。中国の石英るつぼに関する多くの業界団体規格制定にあたり、原案作成を担当している。
 
 同社が製品・サービスを提供する太陽光発電用単結晶シリコンウエハーは、2016年には太陽光発電用シリコンウエハー市場の19.5%を占めるのみだったが、ダイヤモンドワイヤーによる切削技術の向上によって製造コストの低減に成功、21年には94.5%にまで大きく上昇して、多結晶ウエハーに代わる主力製品となった。
 
 中国の太陽光発電市場は近年急速に拡大しており、発電量は2015年の392億キロワット時から21年には3259億キロワット時にまで増え、年間の全発電量の4%を占めるに至った。21年末現在の太陽光発電ユニット発電容量は308ギガワットで、50年には5000ギガワットに達して中国国内最大の発電源になると予測されている。太陽光発電の爆発的な普及により、単結晶シリコンウエハーの需要とともに同社製品・サービスの存在価値もますます高まることが見込まれる。
 
 同社は、高温下で大型の単結晶インゴットを製造可能な質の高い石英るつぼ製品を提供可能であること、石英るつぼ製品の成型、溶融、検査、サンドブラスト、酸洗浄、パッケージングなど各製造工程で特許を取得していること、原料の大量調達、低い輸送コスト、設備の自動化により製造コストの低減を実現していることなどを強みとする一方で、資金調達の手段が限られていること、生産能力が小さく大きな市場シェアを獲得できていないこと、主要拠点である内モンゴル自治区でハイレベルな人材の確保が難しいことなどがボトルネックとなっている。

 また、売上の大部分が少数の顧客に集中していること、原料となる高純度石英の調達を米国からの輸入に依存しており、米中貿易摩擦の影響を受けやすいこと、太陽光発電に関する中国政府の政策変化などが経営上のリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は8億4840万元(前期比51.53%増)、純利益は1億3342万元(同56.86%増)。22年1~6月期の売上高は5億8138万元(前年同期比35.72%増)、純利益は9209万元(同23.65%増)。
(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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