ドーピング問題で暫定的に出場停止中のチェルシーに所属するウクライナ代表FWミハイロ・ムドリクが、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したようだ。29日、イギリスメディア『BBC』や同『スカイスポーツ』などが伝えている。


 現在25歳のムドリクはシャフタール・ドネツクから2023年1月に7000万ユーロ(約131億円)に3000万ユーロ(約56億円)の追加オプションが付随する移籍金でチェルシーに加入。2031年6月30日までとなる長期契約を締結し、ここまで公式戦73試合出場で10ゴール9アシストを記録している。また、ウクライナ代表としても通算28試合出場で3ゴール5アシストという成績を残している。

 そんなムドリクは2024年11月28日に行われたUEFAカンファレンスリーグ(ECL)リーグフェーズ第4節のハイデンハイム戦に出場したのを最後に戦列を離脱。当初は体調不良と伝えられていたが、同年12月17日に定期的な尿検査で禁止薬物が検出されたことが発表され、暫定的に出場停止中となっている。

 陽性反応が出たのは呼吸機能と持久力を向上させる心血管系治療薬である禁止薬物メルドニウムで、2024年10月にウクライナ代表として活動中に接触したと見られているが、当初から一貫してムドリク自身は禁止薬物を故意に摂取したことは一度もないことを主張しており、嘘発見器テストを受けて合格するなど、潔白を証明するためにサンプル「B」の検査結果を待っている状況となっていた。

 出場停止処分から16カ月が経過した現在も、ムドリクは無実を主張し続けており、今年に入ってからはパーソナルトレーナーとトレーニングを続け、コンディションを維持している様子を時々自身のインスタグラムで明らかにしている。

 進展のない状況が続いていたなか、イングランドサッカー協会(FA)はついにドーピング違反で有罪と判断し、ムドリクに最長となる4年間の出場停止処分を下したことがスポーツ仲裁裁判所(CAS)の広報担当者によって判明。このような場合、出場停止処分は通常、暫定的な出場停止期間の開始時点に遡って適用されるため、同選手の復帰は2028年12月頃となることになった。

 しかし、すでにムドリクは2月25日にCASにFAを提訴していた模様で、まだ審理の日程は組まれていないものの、現在は当事者間で書類提出のやりとりが行われていることも伝えられている。

 なお、ムドリクを弁護しているのは、元フランス代表MFポール・ポグバ(現モナコ所属)がドーピング違反で4年間の出場停止処分を受けた際に担当していたモーガン・スポーツ・ロー法律事務所で、ポグバの場合は最終的に18カ月に軽減されていたことから、ムドリクに近い関係者は、早ければ来シーズンにも復帰できることを期待しているという。

 イギリス紙『イブニング・スタンダード』によると、ムドリクの古巣シャフタール・ドネツクも同選手の状況を心配している模様で、ECL準決勝・ファーストレグのクリスタル・パレス戦を前に、同クラブのCEOを務めるセルゲイ・パルキン氏は次のように語っていた。


「彼の契約には3000万ユーロ(約56億円)のボーナスが含まれている。彼がプレーしない場合や、チェルシーが結果を出せない場合、我々は3000万ユーロを失うことになる。これは我々にとって大きな経済的損失だ。誰もがこの件が一日も早く良い結果で解決し、ムドリクがプレーに復帰できることを信じている。そうでなければ、我々は3000万ユーロの損失を被ることになるからね」

「私はムドリクを選手としても人間としてもよく知っている。彼は必ず復帰して再びプレーしてくれると信じている。皆が裁判所の判決を待っているが、いつ判決が下されるのか、いつ最終決定が出されるのか、我々には全く情報がない」

 チェルシーとしては手続きが完了するまでコメントを控える方針を見せており、FAも係争中の案件についてはコメントできないとしているが、果たしてムドリクの処分は軽減されて来シーズンからプレーすることが可能となるのだろうか。
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