◆JERA セ・リーグ 中日0―2巨人(30日・バンテリンドーム)
悪くはないが、良くも見えなかった。好調時を知るからこそ、戸郷に求めるハードルは高くなる。
印象的だったのは2回無死一塁での石伊の打席。1ボール2ストライクに追い込み、外角低めにスライダーを要求した。外へ逃がして空振りを奪う選択も、相手の反応は悪かった。カウント2―2とし、フルカウントにはしたくないから、配球を内角直球に切り替えた。しかし、詰まりながらもレフト前に運ばれた。変化球の精度がいまいちだったから、捕手・石伊の読みが勝った形だ。
ファームでは直球を見直してきたようだ。実際、打席に立ってみないと分からないが、本塁ベース手前でのもうひと伸びは感じた。右足にタメを利かせて体重移動ができているから、フォームのバランスが格段に良くなった印象だ。だからか、リリースする瞬間が強くなっている。
直球がいいから、変化球が本来じゃなくても試合はつくれた。6回まで投げ切れたことも次につながるだろう。やはり、ピッチャーの生命線は真っすぐだと思ったし、復活への階段は上っている。(スポーツ報知評論家・高橋 由伸)