◆パ・リ-グ オリックス4×―2日本ハム(1日・京セラドーム大阪)

 日本ハムが2度にわたる航空機の遅延やルート変更を経て、予定より16分遅れの午後6時16分からオリックス戦(京セラD)に臨んだが、逆転サヨナラ負けを喫した。新千歳空港から約7時間かけ、当初の予定より3時間遅れの午後5時に京セラD入り。

新庄剛志監督(53)は選手の移動中にインスタグラムでスタメンを発表し、空港でのウォーミングアップを命じるなど、オリジナリティーあふれる“采配”を見せたが、9回に力尽きて首位ソフトバンクと1ゲーム差に広がった。

 激動の一日の幕切れは、一瞬だった。2―0の9回。先発の加藤貴が1点を返され、なお1死二、三塁、頓宮に逆転サヨナラ3ランを浴びた。「全部打たれた球は甘いので」。前日入りで“試練”を回避した左腕が、奮闘の末に最後の最後で力尽きた。

 チームにとっては、大阪入りまでが苦労の連続だった。北海道からの移動ゲーム。午前9時51分に航空会社から「使用する飛行機の手配がつかないため出発時刻が変更になります」と、チームが搭乗予定だった新千歳―伊丹便が4時間20分遅れになる知らせが届いた。当初の出発時刻に合わせて新千歳空港に現れた選手たちは、ロビーで待機。ここから長い一日が始まった。

 スタッフらは懸命に他の移動手段を検討。

午前10時45分、羽田空港経由の振り替え便での大阪入りを決めた。ナインからは「試合中止もあるのでは」と声も上がる中、正午に羽田空港行きの飛行機に乗り込んだ。しかし、試練は続く。羽田空港到着後に、今度は乗り継ぎ便が遅延。1時間の待ちぼうけをくらい、40分遅れで再出発した。

 ピンチで動いたのが別便で移動していた新庄監督だった。チームが羽田空港をたった5分後、インスタグラムで異例のスタメン発表を行い、「ついてから練習する時間がないのでスタメンの選手は空港で体動かしといてちょうだい」と添えた。「気持ちの入り方も違う」と指揮官らしいサプライズで選手に事前準備を促した。

 チームの伊丹空港着は午後3時45分。その後、道路の混雑を経て、予定から3時間遅れの午後5時に京セラDに到着した。通常、1時間半程度行う試合前の全体練習を取りやめ、フリー打撃も断念。先制ソロの石井は「フリーを行わずに試合は初めて。

けがだけが怖かった」とこぼした。最小限のアップを行い、練習時間はわずか30分。食事の時間も取れず、ベンチでバナナを食べ、栄養補給を行った。試合開始は午後6時15分に変更され、同16分にプレーボールがかかった。

 幾多のトラブルを乗り越えての勝利寸前に逆転サヨナラ負け。2時間30分の試合後、新庄監督は「こういう日でも勝てるチームでありたかった」と漏らした。連敗で、首位とのゲーム差は1に拡大。新庄ハムの8月は試練のスタートとなった。(川上 晴輝)

 ◆日本ハムドタバタの一日

 ▽午前9時51分 全日空が「使用する飛行機の手配がつかないため」と、出発時刻を午前11時10分から午後3時30分に変更すると発表

 ▽午前10時20分頃 ナインが新千歳空港集合。ロビーで待機

 ▽同45分頃 新千歳→羽田→伊丹の振り替え便手配に成功

 ▽午後0時 新千歳空港出発

 ▽午後1時40分 羽田空港到着

 ▽午後2時40分 乗り継ぎ便も40分遅延し、羽田空港出発

 ▽同45分 新庄監督がインスタグラムでスタメン発表

 ▽午後3時45分 伊丹空港到着。チーム便より前に移動していた伊藤、加藤貴、バーヘイゲン、伏見が京セラDでアップ開始

 ▽午後4時 チームバスで京セラDへ移動

 ▽午後5時 道路の混雑を経て京セラD到着

 ▽同5分 選手各自でアップ開始

 ▽同10分 新庄監督がグラウンドに登場。試合開始を15分遅らせると球場アナウンス

 ▽同40分 選手がロッカーに戻る

 ▽午後6時16分 試合開始

 ◆試合地到着遅延に関するパ・リーグのアグリーメント(抜粋)

 ・交通機関が大幅に遅延し、チームが目的駅または目的空港に所定の時刻までに到着することができない場合、試合開始予定時刻を遅らせても、極力、試合興業に努める。

 ・試合開始予定時刻を変更するに当たっては、午後7時30分までを目途(後略)

 ・チームが球場に到着してから試合開始までの間に(中略)少なくとも40分間の準備期間をとるものとする。

 ◆試合当日移動に関するパ・リーグのアグリーメント(抜粋) 当日移動に使用する交通機関は、当該球団が新幹線または航空機のいずれかをその都度選択決定するものとする。(中略)選択する交通機関は、目的駅または目的空港に試合開始予定時刻の4時間前までに到着しうるものでなければならない。

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