◆JERA セ・リーグ 巨人2―7DeNA(1日・東京ドーム)

 佐渡のドクターKが帰ってきた。巨人・菊地大稀投手(26)の剛球がうなりを上げた。

2―6の7回から、7月29日の支配下再昇格後初登板。先頭・蝦名を空振り三振に抑えると、ここから回をまたいで4者連続三振だ。22年に支配下登録即登板した際と同様、新しい背番号が間に合わずに「001」のまま。味方の失策も絡み1失点したが、3回2安打で自責0、6奪三振で「戻れてうれしい。自分のボールは投げられたけど、次はゼロで帰ってこられるように」と先を見据えた。

 守るものが増えた。育成6位で入団し、22年4月に支配下登録。23年には50登板したが、24年は1軍登板なしで同年オフに育成契約となった。踏ん張ってこられたのは、今年2月に生まれた第1子となる娘の存在だ。「かわいいんです」と成長を喜び、スマートフォンには写真や動画があふれている。「家族のためにも頑張らないといけない」。今季、2軍では先発も経験しながら11登板4勝2敗、防御率2・43。

「どれだけゾーンの中で勝負するかが持ち味。それが今日はできた」と、パパとしてたくましさを増して1軍の舞台に戻ってきた。

 感謝の思いを響かせた。登場曲は3人組ロックバンド「THE ALFEE」の「星空のディスタンス」。同じ個人トレーナーに師事する縁があるギタリスト・高見沢俊彦(71)には、毎年恒例のクリスマス日本武道館公演に招待される。大の巨人ファンである高見沢からは出産祝いとして娘へグッチの靴が届き、何度もエールをもらった。「登場曲をドームで流すことが恩返し。ライブでパワーをもらっているので、このままじゃ終われない気持ちです」。何度もはい上がってきた強い思いを、マウンドでぶつけ続ける。(水上 智恵)

 ◆菊地 大稀(きくち・たいき)1999年6月2日、新潟・佐渡市生まれ。26歳。佐渡高、桐蔭横浜大を経て21年育成ドラフト6位で巨人入団。

22年4月に支配下選手登録されて背番号「96」となり、23年は50登板。今季は育成契約で再出発。7月に再昇格して背番号「001」から「68」に変更。通算67登板4勝6敗1セーブ、防御率3・82。186センチ、89キロ。右投左打。

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