第107回全国高校野球選手権大会(5日から18日間・甲子園)の公式練習が2日、甲子園球場で行われ、3年ぶり出場の明秀学園日立(茨城)が登場した。主将を務める帯広市出身の能戸輝夢(きらむ)外野手(3年)は、県大会で大けがを負った左足首の痛みに耐え、最後の夏に全てをぶつける。
シート打撃中心の練習で、能戸は左足を引きずりながら打席に入った。足首への負担を減らすために軸足を固定しながらスイング。下半身をほぼ使えない中でも鋭い当たりを連発し、「(今は足首を)動かすことができない。(初戦が)後半になれば、けがの状態も良くなっていると思うので、少しは出場できるかな」と見通しを口にした。
巨人・坂本勇人、中日・細川成也といった強打者を育てた金沢成奉監督(58)の指導を受けるために、地元の北海道を離れた。1年秋からレギュラーをつかみ、主力として活躍してきたが、集大成である今夏に悲劇が襲った。県大会準々決勝の岩瀬日大戦で左足首をひねり、靱帯(じんたい)を断裂。準決勝、決勝はスタメンから外れた。
手術引退後に延期 負傷直後、患部が大きく腫れた。骨に異常はなかったが、「寝てても痛くて起きてしまう時がある」と、苦闘の日々は続く。それでも、「最後の甲子園なので痛みを我慢してでもやりたい」と金沢監督に直訴し、手術を引退後に先延ばし。テーピング、痛み止め薬のほか、帝京大で高気圧酸素治療を3度受け、出場に向けて最善を尽くしてきた。
現状では守備、走塁が厳しいため、代打での出場が見込まれる。「1勝でも多く勝つことだけを考える。けがも気になるけど、一番はチームが勝って結果を残すこと」。道産子主将は、1打席、一振りにすべてを懸ける。(島山 知房)
◆能戸 輝夢(のと・きらむ)2007年5月15日、帯広市出身。18歳。小学3年時に野球を始め、中学時代はとかち帯広リトルシニアでプレー。明秀学園日立では1年秋に背番号8で初めてベンチ入り。高校通算15本塁打の打力が持ち味で、今夏の茨城県大会は6試合に出場し14打数7安打の打率5割をマークした。183センチ、80キロ。右投左打。