◆米大リーグ カブス3―4オリオールズ(2日、米イリノイ州シカゴ=リグレーフィールド)

 オリオールズ・菅野智之投手(35)が2日(日本時間3日)、敵地・カブス戦に先発して、5回95球を投げて5安打3失点で勝敗はつかなかった。カブス・鈴木誠也外野手(30)は「3番・指名打者」でフル出場。

NPB時代の2021年以来4年ぶりの対決は2打数無安打で菅野に軍配が挙がった。菅野は、7月末のトレード期限後の最初の登板で9勝目はならなかったが、若返ったチームの中で、粘り強く試合をつくり、逆転勝利を呼び込んだ。

 7月31日(同8月1日)のトレード期限が過ぎた菅野が、厳しい現実と向き合いながら、腕を振った。8回まで味方打線の援護はなく、若手に切り替わった味方守備にも足を引っ張られる中、粘りの投球で試合をつくった。

 「上位打線はうまく抑えられた(1~4番は11打数無安打)と思いますし、最低限の仕事はできたかなと思います。下位打線に対してボール先行になって受け身になってしまった部分とか、反省点はありますけど、それなりに投げられた。きょうはまっすぐの質が一番良かったみたいです。空振りも取れて、ファウルにもなっていて、悪くなかった」

 負傷者リストから復帰した正捕手ラッチマンと6月14日のエンゼルス戦以来となるコンビ復活。「やっぱり波長が合うなと思いました」。直球主体で攻め、左打者にカーブなどを効果的に使い、「近目のボールを意識させているからこそ、外から入ってくるカーブが遠く見えて緩急が使える。ここ数試合、やりたいことが形になって、線で繋がってきた」とうなずいた。

 トレード期限だった現地時間の7月31日には遠征先のホテルの部屋で過ごした。

トレード要員として名前が挙がったが、結局、残留。一方、ア・リーグ東地区再会に沈むオ軍は売り手球団として9選手を放出し、主にマイナー選手を16人を獲得。顔ぶれは大きく変わったが、「別に驚きはないです。こんな感じなんだな、と」と冷静に受け止めた。

 主力を欠いた打線は、今季本拠地9勝0敗、防御率1・95と鉄壁を誇る相手先発ボイトに歯が立たず、牽制に刺されて反撃の芽をつぶしたり、守備でも、前日メジャーデビューを果たしたばかりの右翼手ジャクソンが、右飛にダイビングキャッチを試みて後逸(記録は三塁打)するなど未熟さは否めないが、菅野が粘り強く試合をつくり、逆転勝利に導いた。

 「初めての経験でしたけど、やっぱり僕はこのチームに愛着がありますし、難しい状況というのは理解してますけど、何とか若い子たちと一緒になって、こういう試合を1試合でも多くできるように頑張っていきたい。残り2か月、個人的には最後までローテーションを守って、1試合でもチームに勝ちがつく試合がしたいなということ。若い選手が沢山上がってきて接する機会も増えている。このチームにいいものを残せたらいいのかなと思います」

 環境の変化にも、オールドルーキーの視界はブレることがない。再建に歩みだしたチームと共に最後まで死力を尽くす。

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