第107回全国高校野球選手権大会の開幕を翌日に控えた4日、各校はそれぞれで調整後、甲子園での開会式リハーサルに参加した。第2日の第3試合に登場する金足農(秋田)の練習には、同校のエースとして18年夏の準Vに貢献したオリックス・吉田輝星がサプライズ訪問。
気合が入らないはずがない。金足農・吉田が、難敵を目の前に気持ちを高ぶらせた。沖縄尚学との初戦を6日に控え、京都市内で行われた練習。ブルペンでフォームの確認を行う右腕の視界に入ったのは、“憧れ”と語り続ける兄・輝星だった。弟は「来ないと聞いていたので、うれしかった」と、はにかんだ。
前日(3日)の組み合わせ抽選会後、LINEで連絡したという。その際には「今年は行けない」と伝えられていた。この日、ナインを含めて一切、輝星との会話はなかったが、思わぬサプライズに気持ちが高まった。
2年連続甲子園。
沖縄尚学は最速150キロ左腕・末吉良丞(2年)を擁する強敵。好投手との投げ合いを前に、闘志は高まる。「自分が活躍することで、輝星も『このままじゃダメだ』と思ってくれるはず」。聖地で準優勝した18年は、エースだった輝星から勇気をもらった。今度は、自分が兄を奮い立たせる番だ。(古澤 慎也)