◆第107回全国高校野球選手権大会第1日 ▽1回戦  創成館3―1小松大谷(5日・甲子園)

 照明に照らされた聖地のマウンドで、身長170センチの小柄な右腕が輝いた。創成館の森下は、小松大谷から毎回の13三振を奪い1失点完投。

史上初めてナイターで行われた開幕戦の主役になった。

 153球の熱投。それでも終盤に球威が衰えるどころか、ストレートの伸びは増していった。「涼しくて投げやすく、体力があり余っていました。暗くなった6、7回あたりから、真っすぐに振り遅れている感じもしました」。この日の最速は146キロ。9回の最後の打者は、143キロの直球で空振り三振に斬った。

 阪神の若き主砲・森下翔太と同姓同名。1点を追う2回2死一塁で最初の打席に入ると、一塁側アルプスから森下のテーマソングが聞こえてきた。「甲子園で流してもらえると聞いていました。力になりました」。左翼へ同点二塁打を放ち、打でも貢献した。

 父・孝一さん(51)によると「同じ名前の人がいることは子供の頃から知っていて、中学になると『(森下と同じ)東海大相模に行く』と言っていた」という。「名前に恥じないようなピッチングをしたいという思いがあった。完投できてよかった」と森下。阪神の背番号1に負けじと、甲子園のファンの注目を独り占めにした。(浜木 俊介)

◆記録メモ ▼開幕戦・毎回2ケタ奪三振 創成館・森下翔太が、開幕戦に毎回の13奪三振、無四死球で完投勝利。

 開幕戦での2ケタ奪三振は、2012年常葉学園橘戦10Kの福井工大福井・菅原秀以来、23人目(延長回含む。1921年は2会場で開幕も、開始時間の早い試合を開幕とする)。このうち13K以上は10人目、無四死球でマークは3人目。毎回奪三振で記録したのは

 年 投 手(学 校) KB

15鹿田一郎(鳥取中)146

25森田 勇(東山中)193

32楠本 保(明石中)151

25森下翔太(創成館)130

 森下が32年開幕戦ノーヒットノーランの楠本以来、93年ぶり4人目。毎回&無四死球でマークは森下が初めて。

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