今年1月の第101回箱根駅伝で2年連続8度目の優勝を果たした青学大の原晋監督(58)が6日、第107回全国高校野球選手権大会第2日1回戦で宮崎商(宮崎)との延長10回タイブレークの死闘を制して6―5でサヨナラ勝ちした開星(島根)の野々村直通監督(73)を祝福した。2人の個性派監督は10年以上の親交がある「盟友」で、毎年10月に行われる島根・出雲駅伝の前夜に酒を酌み交わす仲。

今大会出場監督で最年長の野々村監督について、原監督は「73歳にして輝いています!」と称賛した。

 開星は2017年以来、8年ぶり11度目となる夏の甲子園出場。2020年3月に監督に復帰した野々村監督にとっては、夏では2011年以来の甲子園で、14年ぶりの初戦突破となった。2002年夏の甲子園の抽選会ではダブルのスーツ姿で現れ「やくざ監督」と呼ばれて話題に。2006年夏には羽織はかま、2011年夏には着物に黒の透けた羽織を身につけた。2010年センバツでは1回戦で「21世紀枠」の和歌山・向陽高に敗れて「末代までの恥」などと発言し、物議を醸した。この日も、NHKの勝利監督インタビューでは「だんだん!(島根の方言で「ありがとう」の意味)」「このような試合を甲子園でできることは素晴らしい。魂のあるチーム」など随所に野々村節が飛び出した。

 原監督は「何歳になっても野々村監督は輝いていますね! インタビューも野々村監督ならでは表現でメッセージが強く伝わります」と笑顔で話した。

 夏の高校野球と正月の箱根駅伝。日本の風物詩となっているスポーツを盛り上げている野々村監督と原監督が初めて会ったのは10年以上前という。「野々村監督が府中東(広島)で甲子園に初出場した時のエースの片岡光宏さんが宮崎県で経営しているお好み焼き屋さんで会いました。

当時、青学大は、やっと箱根駅伝に出られるようになったくらいで、初優勝(2015年)の前でした。まだ、何の実績も残していないのに私は、すでに有名人だった野々村監督に『近い将来、箱根駅伝で優勝しますよ』と宣言しました。野々村監督は、私の熱意を感じ取ってくれたようで『本気でやればできる!』と激励してくれました。勝負の世界で本気で指導することを教わりました」と原監督は懐かしそうに振り返る。

 今では毎年10月の出雲駅伝前日に、出雲市内のお好み焼き店で酒を酌み交わすことが恒例となっている。「島根県では野々村監督が『暴力団追放』を訴えるポスターに登場していて驚きました。『出る杭(くい)は打たれる。でも、出過ぎた杭は打たれない』という野々村監督の言葉が印象に残っています」と原監督は笑いながら話す。

 開星は2回戦で強豪の仙台育英(宮城)と対戦する。野々村監督は「(次の対戦相手は)大横綱ですから。うちはふんどし担ぎ。すべて力を出し切って玉砕してくれたらいいと思います」と豪快に話した。

原監督は「大横綱を相手に大金星を期待しています」と言葉に力を込めて激励した。

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