◆第107回全国高校野球選手権大会第2日 ▽1回戦 鳥取城北0―5仙台育英(6日・甲子園)
午前と夕方の2部制で実施され、2022年夏の甲子園を制した仙台育英(宮城)は、今秋ドラフト候補のエース左腕・吉川陽大(3年)が鳥取城北を相手に12三振を奪い、5安打完封の聖地デビューを飾った。
鋭い腕の振りが聖地を支配した。
偉大な両親から強靱(きょうじん)なメンタルを学んだ。「一番の武器は勝負強さです」と胸を張る。父・正博さん(62)は元バレーボール女子日本代表監督。母・博子さん(54)=旧姓・津雲=は「世界NO1リベロ」と呼ばれた全日本のリベロ第1号だ。須江航監督(42)は「天性の勝負根性を持ってますよ。練習とかでもグッと歯を食いしばって頑張れる」とエースの精神力を絶賛。幼少期から博子さんから「常に平常心で」と説かれた。この日の試合前にも「楽しんだもの勝ちだよ」と連絡を受け、好投につなげた。
好きな言葉は、須江監督から授けられた「枕に悩みを持ち込むな」。
「上からたたき落とすイメージがしやすい」とスライダー、カットボール、カーブの腕の振りはバレーのアタック仕込み。8回1死102球目にこの日最速144キロで空振り三振を奪うなど、抜群のスタミナと勝負根性で鳥取城北を圧倒した。「夢の舞台だったので、一歩ずつやってきた。夢見てきて良かった」。広島市生まれの左腕が8月6日「原爆の日」に圧巻の完封劇。3年ぶりの全国制覇を狙う仙台育英には、頼もしいエースがいる。(古澤 慎也)