◆第107回全国高校野球選手権大会第2日 ▽1回戦 鳴門5―4天理(6日・甲子園)

 鳴門の橋本朋来投手(3年)が投打に渡る活躍で逆転勝利に導いた。初回に自身の失策もあり、2回までに3失点。

5番打者としての初打席は2回にスリーバント失敗の三振に倒れたが、最悪のスタートから巻き返した。2点を追う4回無死一塁で同点2ラン。初球のスライダーを完璧に捉え、公式戦初本塁打を左翼席に運んだ。

 「初回は焦ってしまったけど、ミスをバットで取り返すことができて、自分のペースに戻りました。自信にもなりました」と中盤から投球も安定。得意のスライダーも決まった。最後は右手人差し指がつりかけていたが、157球で完投。「(甲子園は)球場がわいていて、ハラハラ、わくわくしました。校歌を歌う夢がかなって良かったです」とヒーローになった。

 分岐点となったアーチ。実は「バントのサインを間違えちゃって」と明かした。「前の打席でバントを失敗しているし、打てないのかなと思った」と苦笑い。

試合終了後に岡田将和監督から「あれ、バントやぞ」と伝えられたという。ただ、別の場所で取材を受けた岡田監督は「橋本がエラーをして、バントを失敗してという流れだったので。しっかり振らせて、緊張をほぐそうということで振らせました。まさか、ホームランになるとは」と説明。「あれ、バントやぞ」の真意は「本当ならバントの場面」だったとみられる。

 いずれにせよ、同校6年ぶりの甲子園での勝利の立役者。徳島大会は背番号8だったが、大会中に成長し、決勝戦は完封でチームを聖地に導いた。今大会が初めてのエースナンバー。身長167センチの大黒柱が見事に実力を発揮した。

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