◆第107回全国高校野球選手権大会第2日 ▽1回戦 鳥取城北0―5仙台育英(6日・甲子園)
午前と夕方の2部制で実施され、2022年夏の甲子園を制した仙台育英(宮城)は、今秋ドラフト候補のエース左腕・吉川陽大(3年)が鳥取城北を相手に12三振を奪い、5安打完封の聖地デビューを飾った。
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「連れてこられてうれしい」―。
生まれは広島の吉川だが、神奈川で育ち、高校は宮城へ。これまで祖父母が直接、孫の活躍を見届けられる機会に恵まれず、広島から近い甲子園が“唯一”のチャンスだった。2人は「心臓がバクバクした」と言いながら、1球1球をアルプス席から見届け「ここへ連れてきてくれたのは夢のよう。ありがたい」と最愛の孫へ感謝を伝えると話した。
80年前の8月6日、広島に原爆が投下された。吉川は「聞いていられないような重い経験を話してくれて、印象に残っている」と祖父母から歴史を学んだ。「次は決勝を見に来る」と優勝を心待ちにする祖父母のためにも、エースは腕を振り抜く。(綾部 健真)