◆JERA セ・リーグ 巨人2―0ヤクルト(6日・東京ドーム)

 執念の一振りで泉口が同期を援護した。1点リードの3回1死二塁。

フルカウントからアビラの134キロチェンジアップに反応した。外角低めに逃げながら沈んでいく変化球に食らいつく。「気持ちだった」。泳ぎながら右手一本で合わせて、しぶとく中前に運んだ。二塁走者の丸が激走して生還。「丸さんの盗塁と(本塁までの)走塁のおかげです」と顔をほころばせた。

 バットを握る手に、自然と力が入った。プロ初先発した森田とは23年ドラフトの同期という間柄だ。プロ初勝利を目指す左腕の、この一戦にかける気持ちは伝わっていた。故障に泣き、1年目から苦しんできた姿も見てきた。「同期の支配下で森田さんだけ(昨季まで)1軍経験がないというところで、僕らにはわからない本人の思いもあったと思う」。貴重な追加点をもたらして、初白星をアシストした。

 どの打順でも頼もしい。遊撃のレギュラーに定着した今季は4、9番以外の打順を経験し、この日の3番は28試合目。ただ、クリーンアップを任されても過剰な意識は持たない。「3番目という意識で気にせず。冷静に考えたらジャイアンツの3番は荷が重いので、逆に考え過ぎずにやるべきことをやろうと思っている」と明かす。自然体で目の前の打席に集中する姿勢が結果に結びついている。

 後半戦も好調を維持し、安打数は吉川に並んでチームトップとなった。守備では8回1死で飛球を背走しながら好捕するなど、攻守で勝利に貢献。森田が「心強いなと思って投げていた」と感謝すれば、泉口は「これから一緒に勝ちを共有できたら」と思い描いた。躍進を続ける背番号35が同期を、チームを支えていく。(宮内 孝太)

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