◆米大リーグ ドジャース3―5カージナルス(6日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース・大谷翔平投手(31)が6日(日本時間7日)、本拠地・カージナルス戦に「1番・投手兼DH」で先発出場し、メジャー通算1000安打を、10戦48打席ぶりとなる39号2ランで決めた。投げては、今季8度目の登板で復帰後最長4回2安打1失点8奪三振の快投。

地元の岩手から観戦に訪れた、父・徹さん(63)が監督を務める「金ケ崎リトルシニア」の子供たちの前で最高の“ショータイム”を披露した。

 塁の手前で、大谷が華麗に放り投げた。確信のバットフリップ。節目を彩る“祝砲”が中堅左に飛び込んだ。1点を追う3回1死二塁。先発左腕・リベラトレの内角シンカーを完璧に捉えた。打球速度109・5マイル(約176・2キロ)、飛距離440フィート(約134メートル)。10戦&48打席ぶりの39号逆転2ランで、メジャー通算1000安打を飾る特大弾となった。

 今季122安打を積み上げ、日本人ではイチロー、松井秀喜に次いで史上3人目の大台。投手のみの出場を除き、973試合目での到達となった。「本塁打の打席はよかった。打席と投球で別々で考えているので、マウンドと打席でやるべきことをしっかりすみ分けて、切り替えながらやっていきたい」。

今季3発目の“リアル二刀流弾”で決めた。

 光明が差し込んだ。最近はボール球に手を出す傾向が強くなり、三振も急増。直前まで18三振を含む今季ワースト47打席連続ノーアーチ中だった。「振れる回数、時間も限られていますし、毎日同じことをやりながら、感覚の違いを探る作業を一日一日限られた時間の中で大事にしている。ゾーン内に来ない時に我慢できるのが一番、全体的な打席の中では大事かな」。辛抱の日々が続いたが、確かな手応えを得た様子だった。

 最高の雄姿を届けた。一塁側内野席では、父・徹さんが監督を務める岩手の「金ケ崎リトルシニア」のナインが試合観戦。父から連絡を受けていた大谷は「僕は(中学時代に)アメリカに来て試合を見たことはないので、試合を見られることがすごく大きい。そういう経験ができていたら、もっと日々の過ごし方、取り組み方も変わっていた。いい経験を自分の糧にしてもらいたい」。

味方の不運なミスが絡んで失点しても、直後に自らのバットで倍返し弾。野球世界最高峰の地で大谷なりのメッセージを伝えた。

 チームは逆転負けで、2位パドレスが2差に迫った。だが、ロバーツ監督は「昨夜の試合の後のデーゲームであれだけのプレーをするのは言葉で言い表せない。翔平に関して言えば、本当に素晴らしい一日だった」と大絶賛。この日は来場者に「OHTANI」と刻まれたチャンピオンリングのレプリカが配布された。球団初となるワールドシリーズ連覇に向け、投打でチームをけん引し続ける。(竹内 夏紀)

◆父・徹さんが生観戦「いいところ見られた」

 孝行息子の元気な姿に胸をなで下ろした。一塁側から熱視線を送ったのが、大谷の父・徹さん。監督を務める「金ケ崎リトルシニア」が日米親善野球大会に参加するために訪米し、この日は中学生のナインと共に生観戦した。二刀流出場&優勝リング配布日に重なったのは「たまたま」だったといい、父は「最高にいいゲームだったんだけど、(逆転されて)チームが負けてしまったので、最高に残念に変わってしまった。(選手たちは)いいところを見られたので良かった」と目を細めた。

 前回のレッズ戦は「右でん部のけいれん」で緊急降板となったが、今季最長4回を投げ切る快投を直接見届け、「徐々に慣れて(完全に)投げられるのはもう少し先かな。ポストシーズンを目指してやっていければね」と一安心。誰よりも息子の活躍を願う父は「チームが勝たないとポストシーズンに行けないので。けがをしないように頑張ってほしいですね」と温かいエールを送った。

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