◆第107回全国高校野球選手権大会第3日 ▽1回戦 津田学園5×―4叡明=延長12回タイブレーク=(7日・甲子園)
午前の部が雨予報で中止となり、午後の部2試合が行われた。津田学園(三重)は初出場の叡明(埼玉)と延長12回タイブレークの死闘の末、サヨナラで6年ぶり初戦突破。
何度も雄たけびを聖地に響かせた。4―4で迎えたタイブレークの延長12回、津田学園の桑山はつりかけた足の治療を終え、マウンドに立った。「気力しかない。最後は気持ちで抑え込んだ」。1死一、二塁を三ゴロの併殺打に仕留めてこの回を0封。最後は無死一、二塁で伊藤璃空の送りバントが敵失を誘い、サヨナラの二塁走者が生還。2023年に10回からタイブレークの適用が導入されてからは甲子園史上最長タイの延長12回の激戦を制した。
3回まで1安打無失点も、2巡目からつかまり5回までに2点リードを追い付かれた。それでも、自慢のスライダーを軸に6回から10回まで無失点。エースの力投に打線も応えた。11回に1点をリードされたが、1死一、三塁で正木瑛真の遊ゴロの間に同点。
孤高のエースが輝いた。女房役の犬飼悠之介が「あいつは自由人なので」と表現するように、今夏の三重大会では試合後、次の試合前日まではグラウンドに一切、来なかった。寮にも帰らず、実家で自分で考えたメニューを敢行。そして、試合前日に再びグラウンドに姿を現す。自由すぎる振る舞いも、犬飼は「その分、やってくれるからみんな何も言わない。あいつが投げた時は野手はみんな絶対負けさせられないと思う」。全5試合(先発4)に登板し、31回2/3を投げて1失点。絶対的エースとして、チームを6年ぶりの甲子園に導いた。
2時間47分、138球を投げ抜いた桑山は、「いろんなところがつっていた」と、椅子に座って取材に応じた。それでも、「甲子園に来て良かったと思える試合できました」と笑顔。
◆桑山 晄太朗(くわやま・こうたろう)2007年6月29日、愛知・稲沢市生まれ。18歳。小1から大里西クラブで軟式野球を始め、投手。大里中では軟式の藤華クラブに所属。津田学園では1年秋に初めてベンチ入り。50メートル走6秒7、遠投105メートル。最速149キロ。変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップ。181センチ、81キロ。左投左打。