◆第107回全国高校野球選手権大会第3日 ▽1回戦 津田学園5X―4叡明=延長12回タイブレーク(7日・甲子園)

 笑って終わるつもりだった。タイブレークの延長12回無死一、二塁。

三塁線へのバントを処理した叡明・田口遼平は一塁へ悪送球。痛恨のサヨナラ負けに「最初は悔いなく終わったんですけど、みんなの涙を見て申し訳なくて…」と目を真っ赤に染めた。

 春夏通じて初の甲子園。中村要監督(51)は新チーム結成後、「お前らが一番弱いと言ってきて奮起してくれた」と振り返る。ユニホームは指揮官がプレーしていた社会人・日本通運のデザインがベース。冬場は12種類のサーキットトレーニング、“日通ノック”と呼ばれるノックなどで鍛え上げて力をつけた。3回から登板して125球を投げた右腕・田口は「1球1球に対する反応がすごくて投げていて楽しかった」と話すように、敗れはしたが選手は諦めずに戦って聖地のプレーを満喫した。

 越谷市からは95年の越谷西以来30年ぶりの出場。私学ながら寮はなく、部員の大半が県内から通う。アルプス席は1000人を超す応援団で埋まり、地元ではパブリックビューイングも開催された。「越谷の皆さん、きょう来てくれた学校関係者の皆さんにいい影響を与えられたのでは。胸を張って帰りたいです」と田口。

その目に浮かんでいた涙はすっかり乾いていた。(秋本 正己)

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