◆第107回全国高校野球選手権大会第3日 ▽1回戦 広陵3―1旭川志峯(7日・甲子園)

 広陵が接戦を制し、甲子園での春夏通算80勝の節目を飾った。

 エースの堀田昂佑投手(3年)が3安打1失点、10奪三振で完投。

攻撃陣は先取点を許した直後の4回に、すぐに追いついた。3番・高橋海翔右翼手(2年)が右中間への三塁打。相手の中継プレーが乱れる間に一気に生還した。6回に4番・草島絃太一塁手(3年)が勝ち越しの左犠飛を放ち、7回にも犠飛で追加点。堅実な攻撃で接戦を制し、中井哲之監督は「監督は何もしていません。(広島大会から)ずっと粘り強い試合をしてくれている」とナインをたたえた。

 同時に「本当にいろいろなことで皆さんにご心配をおかけしましたが、甲子園という夢の舞台に立てて、全力でプレーができたことに感謝します。生徒がよく頑張りました」と指揮官。丁寧に言葉を選んだ。1月に部内で暴力事案が発生。高野連から厳重注意を受けていたことが大会直前に明るみになった。処分はすでに終えているが、騒動に揺れながら迎えた初戦。

歴代単独7位の甲子園41勝目を挙げたベテラン監督も普段との違いを「それは、ありました」と認めた。

 「(出場を)認めていただいた。粛々と全力を尽くす」と語ったが、この件について選手たちと改めて話すことはなく、試合前には「反省すべきことは反省して大会を迎えています」と話していた。部員は球場にも宿舎にも携帯電話などの通信機器を一切、持ち込んでいない。「子どもたちが決めたルール」という伝統。

 好投した堀田は、この数日の周囲の様子を「全然知りませんでした」と明かし、主将の空輝星外野手(3年)も「スマートホンもないので、状況がよく分かっていませんでした。応援してくれる人がいるだけで、力になる。仲間のために」と集中した。

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