◆第107回全国高校野球選手権大会第4日 ▽1回戦 綾羽6―4高知中央=延長10回タイブレーク(8日・甲子園)

 春夏を通じて初めて甲子園の土を踏んだ綾羽にドラマが待っていた。1点ビハインドの8回から登板したエース藤田陸空(3年)が何度もほえた。

3者凡退で勢いをつけると、9回2死一、二塁で初打席。2ストライクからフルカウントまで粘って死球でつないで絶叫すると、満塁から代打・川中雄人の遊ゴロが失策を誘い、同点に追いついた。

 9回裏は味方の失策から迎えた1死一、三塁の大ピンチを脱出。タイブレークの10回に一挙4点が刻まれた。大逆転を呼んだ立役者は10回を守り切ると、この日一番のガッツポーズ。「先生(監督)から『9回表に絶対に逆転してくれる。流れを持ってくるピッチングをしろ』と言われました。その通りになってよかったです」と胸を張った。滋賀大会の準決勝、決勝は先発を務めたが「先発じゃなくて、悔しかった。出番がきたらエースのピッチングすると思っていました」と胸を張った。

 先発は背番号18の右腕・安井悠人(3年)。千代(ちしろ)純平監督は高知中央には右打者が多いことも踏まえて決めた。

タイプの違う6投手による積極的な継投がチームの武器。試合前に「全員つぎ込むつもり」と語りながら「藤田には、やってもらいたいことがある」と、エースに声をかけることを予告していた。そのやりとりを試合後に披露。全体のミーティングでは「全員でつなぐ」と言ったが、藤田には個人的に「最後はお前が締めてくれ」と伝えていた。

 2番手の元木琥己(2年)も7回まで好投。「すごく悩みましたけど、何か流れを変えないといけない。9回につながる投球を」と背番号1をマウンドに送った。9回の好機で打席が回った場面も「こうなったら、きょうはお前の日だ」と背中を押した。

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