◆JERAセ・リーグ 阪神5―4巨人(31日・甲子園

 眠れる“虎”が目を覚ました。2点ビハインドの7回2死一塁、阪神・近本光司外野手(30)が左翼線へ二塁打だ。

「何とか後ろにつなぐ意識で打った」と、8月22日、ヤクルト戦(神宮)の第2打席以来、8戦39打席ぶりにHランプをともし、自己ワーストの長いトンネルを抜け出した。「(無安打中の)過程でもやりたいことがしっかりできていた。ヒットになったことはすごく安心した」と胸をなで下ろした。

 通算1069安打目。新人から7年目までの通算安打で2位・長嶋茂雄にあと1に迫った。ルーキーイヤーから常に安打数を比較され、かねて「野球人生の中ですごく大きな人」と語るミスターの存在。「その一本はすごく難しい。いろいろな重みもあるので、その一本を積み重ねて頑張りたい」と、しみじみと言葉を連ねた。

 続く中野は中前へ同点2点二塁打。なおも2死二塁で迎えるのは勝負強い森下だ。フルカウントから左翼への大飛球。若林がグラブに収めながらもつかみきれず、勝ち越し三塁打になった。

「ああいう場面でタイムリーを求められるのはクリーンアップの役割」と、リーグ2位の75打点目。2年目だった昨季の73打点を超え、キャリアハイに到達した。12球団トップの勝利打点は17度目。仕上げは佐藤輝が適時二塁打を放ち、4連続長打による4得点で逆転した。

 チームは連勝で12カード連続負け越しなし。マジックは2つ減って「7」となり、最短Vは5日のままだ。同日からは6戦連続で甲子園開催。03、05、23年に続いて本拠地で藤川監督が宙を舞う可能性が高くなった。今季最後となった甲子園の伝統の一戦を「素晴らしいゲーム」と指揮官。Vウィークにする。(直川 響)

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