◆JERA セ・リーグ 巨人4―1ヤクルト(2日・京セラドーム)

 巨人がヤクルトに競り勝ち、連敗を2で止めた。泉口友汰内野手(26)が1点リードの8回に貴重な右越え適時三塁打を放つなど今季6度目の猛打賞をマーク。

打率を2割9分6厘7毛とし、リーグトップの広島・小園に4毛差に肉薄した。先発の戸郷翔征投手(25)が6回でプロワーストタイの6四球を与えながら1失点で5勝目。打線は4回に中山が右翼へ特大の6号同点ソロ、5回に吉川が押し出し四球を選んで勝ち越した。9月最初の試合を白星で飾り、借金を2とした。

 勝利を決定づける一打が、前進守備の右翼手の頭上を大きく越えていく。地元・関西の大歓声を背に、泉口が二塁ベースを蹴る。「みなさんがつないでくれたんで、絶対にかえしてやろうと思って打席に入りました」。1点リードの8回2死一、二塁。6球目の外角低めに沈む130キロフォークを右手一本ですくい上げた。

 9月に入っても、勢いは止まらなかった。初回1死の中前打で連続試合安打を13に伸ばすと、1―1の5回1死では右前へ運んだ。今季6度目の猛打賞で打率は2割9分7厘まで上昇。

この3安打目を放った瞬間はリーグトップに浮上した。小園(広島)がDeNA戦の最終5打席目に安打を放ったため抜かれたが、4毛差まで肉薄した。

 バックネット裏で見守る家族に雄姿を届けた。地元の和歌山・御坊(ごぼう)市から駆けつけた両親が現地観戦。お立ち台で「いいところを見せられて良かったです。産んでくれてありがとうございます!」と、声を上げると、生まれ育った関西のG党から大歓声が巻き起こった。

 父の武則さん(63)は、今季初の現地観戦。昨年は4月の甲子園、9月の京セラDと2度来場し「どちらも直後に2軍落ちしてしまって。あまり行かない方がいいのかな」と控えていたという。今季、正遊撃手に定着した息子の姿をテレビで目の当たりにし「毎日ドキドキしながら見守っています」。大活躍を見て、いてもたってもいられなくなり、1年ぶりに来場。たくましく成長した孝行息子の姿に、胸が熱くなった。

 師匠との時間もエネルギーになった。休養日だった前日1日は、岡本とユニバーサルスタジオジャパンへ。3年ぶりのユニバを、自主トレで弟子入りした主砲と楽しんだ。「休みの日は野球を忘れたい。週6で野球やってるんで、週1の休みぐらいは、何も考えずに過ごしたいなと」と泉口。つかの間の休息で英気を養い、9月を最高の結果で滑り出した。

 チームは9月初戦を制し、連敗を2でストップ。出塁率は3割5分9厘4毛で大山(阪神)を3毛差でかわしてトップに立った。激化する個人タイトル争いに「そういうのを気にせずに日々、やるべきことをやろうと思ってきているので。最後まで自分の信念を貫いていこうかなと思います」。ぶれない若武者が、巨人を再加速させる。(内田 拓希)

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