会心のアーチだった。阪神・大山悠輔内野手(30)が、開始早々、ひと振りで試合を決めた。
1点を先制された直後の初回だ。森下の左前適時打で同点に追いつき、なおも続く無死満塁で森の初球チェンジアップを左翼席に運んだ。「思い切っていくと決めていた。それがいい結果につながった」。19打席ぶりの安打が満弾。藤川監督は「打った瞬間パッと見たら月がきれいでした」と白い歯を見せた後、「素晴らしいホームラン。経験と確かな実力がある」と絶賛した。
2年前は全試合4番でスタメン出場して攻撃陣を「けん引」し、リーグ優勝後に人目もはばからず泣いた。今年の役割は3番・森下、4番・佐藤輝を「支える」5番。兄貴分は、進化する後輩2人を「本当にすごい!」と友人にも自慢しているという。それは、大山が後ろにドンと座っているからこそ。チーム内の誰もが分かっている。
試合前、雨上がりの甲子園の上空には幸運の象徴と呼ばれる二重の虹「ダブルレインボー」がかかっていた。「本音は、マジックが3とか2でずっといかないかな…と。ぜいたくな悩みですけど」と指揮官。思いを一つにして優勝を目指す、かけがえのない時間をかみしめながら進む。最短Vは1日延びて7日。さあ行こう。ファンとともに。