◆JERAセ・リーグ 阪神6―1広島(5日・甲子園

 会心のアーチだった。阪神・大山悠輔内野手(30)が、開始早々、ひと振りで試合を決めた。

2020年9月18日の中日戦(ナゴヤD)以来、自身5年ぶり3度目の9号勝ち越しグランドスラム。お立ち台で虎党に誓った。「まず明日(6日)の試合も、チーム一丸となって勝てるように頑張ります」。優勝マジックは1つ減って3。栄光のゴールへ、また一歩前進した。

 1点を先制された直後の初回だ。森下の左前適時打で同点に追いつき、なおも続く無死満塁で森の初球チェンジアップを左翼席に運んだ。「思い切っていくと決めていた。それがいい結果につながった」。19打席ぶりの安打が満弾。藤川監督は「打った瞬間パッと見たら月がきれいでした」と白い歯を見せた後、「素晴らしいホームラン。経験と確かな実力がある」と絶賛した。

 2年前は全試合4番でスタメン出場して攻撃陣を「けん引」し、リーグ優勝後に人目もはばからず泣いた。今年の役割は3番・森下、4番・佐藤輝を「支える」5番。兄貴分は、進化する後輩2人を「本当にすごい!」と友人にも自慢しているという。それは、大山が後ろにドンと座っているからこそ。チーム内の誰もが分かっている。

 試合前、雨上がりの甲子園の上空には幸運の象徴と呼ばれる二重の虹「ダブルレインボー」がかかっていた。「本音は、マジックが3とか2でずっといかないかな…と。ぜいたくな悩みですけど」と指揮官。思いを一つにして優勝を目指す、かけがえのない時間をかみしめながら進む。最短Vは1日延びて7日。さあ行こう。ファンとともに。

(中野 雄太)

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