プロレスラー船木誠勝(56)のデビュー40周年記念大会「蘇ったサムライ 闘宝伝承2025」が21日、大阪・梅田スカイビル ステラホールで開催された。メインイベントに登場した船木の右腕は肩からテーピングがグルグル巻きにされ、特別レフェリーの獣神サンダーライガーが心配そうにボディチェックした。
船木は大会10日前の11日に出場した初代タイガーマスク「ストロングスタイルプロレス」後楽園ホール大会で、黒潮TOKYOジャパン(アップダウン)との試合中に右肩を脱臼した。
「救急車で運ばれてすぐに電話がかかってきたんです。『脱臼したけど、はまったので大丈夫です』と」40周年大会実行委員長の闘宝伝承・ユカワヨシチカ代表は切迫した舞台裏を明かす。「心配させる前に安心させるんです。大丈夫やなんて、精密検査を受けるまでわからんやないですか」
翌日に帰阪して受けたMRI検査の結果は「右肩棘上筋腱、棘下筋、肩甲下筋損傷、前方関節損傷、HAGL損傷」全治1か月「結構な重傷でした」。同学年で40年前に船木が新日本プロレスでデビューした頃に初めて会い、船木が大阪に移住した10年前から盟友になったユカワ代表は、船木は「友人であり、先生であり、人生の導き手」と言う。
診断された直後に、船木に押し切られる形で、メインイベントの対戦カードを発表した。船木は綾部蓮(全日本プロレス)、謎の白覆面、ハヤブサ(ZERO1)の3人を相手に5分3番勝負を行う過酷なサバイバル戦。当然のように「大丈夫か?」「ピンチ!」と報じられたが、サムライ魂を信じた。
そして、当日になって、船木が黒潮との再戦を熱望し、メインイベント直前に、船木がハヤブサ(プロレスリングZERO1)と組んで黒潮、綾部組とのタッグマッチに変更されることがアナウンスされた。レフェリーのライガーに鼓舞されるように、船木は痛むはずの右手で黒潮と張り手合戦。チキンウイングフェースロックなどの関節技をきめた。
40周年セレモニーでは師匠格の前田日明氏(66)が花束を持って登場し「彼のプロレス人生は、何のまやかしもない一途でまっすぐな気持ちを表してやってきた結果、それが今の船木誠勝を作ってるすべてだと思います」と祝福した。大会を終えてバックステージに戻った船木は「さすがに3番勝負は無理でしたが、次につながりました」とユカワ代表にほほ笑み、脱臼した大会を主催したストロングスタイル平井丈雅代表に、12月4日の後楽園ホール大会への出場を約束し、安堵(あんど)させた。