◆JERA セ・リーグ DeNA8―9巨人(27日・横浜)

 3位・巨人が2位・DeNAとのレギュラーシーズン最終戦で逆転勝ちし、クライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(S)の逆転本拠開催に望みをつないだ。4点を追う9回、岡本和真内野手(29)の2点打などで1点差に迫ると、2死満塁から佐々木俊輔外野手(25)が逆転2点打を放った。

9回に4点差をひっくり返したのは球団7年ぶり。驚異的な粘りでゲーム差を2・5とし、CSでも戦う相手に今季、15勝9敗1分けと意地を見せつけた。

 究極の場面で全員の熱い思いが結集した。1点を追う9回2死満塁、アウトになれば3位確定となる土俵際で、佐々木の右前2点適時打でひっくり返した。二塁走者・中山がヘッドスライディングで生還すると、三塁ベンチの阿部監督は両手を思い切りたたいて「ヨッシャー!」と絶叫。ガッツポーズで喜びを爆発させた。「みんなの意地を見ましたね」。ミラクル大大逆転勝利でCS本拠地開催の2位へ望みをつないだ。

 誰も諦めていなかった。4―8で迎えた9回。伊勢からキャベッジ、泉口、岡本の3連打で2点を返し、なお2死一、二塁から中山が中前適時打で1点差。続く浦田の代打・坂本が価値ある四球を選んで佐々木につないだ。

「何とかしてやろうっていう思いを全員が持ってくれていた」と阿部監督。4点を追う9回に一挙5得点で逆転は球団7年ぶり。百戦錬磨の坂本も「すごい試合でしたね!」と大興奮の死闘だった。

 2位・DeNAとの直接対決2連戦。前日26日に敗れて3・5差に広がり2位確定に王手をかけられた。この日は引き分けも許されない崖っぷち。阿部監督は前のめりに動いた。先発・グリフィンを2回4失点で諦めて交代。流れを変えようと3回から捕手の岸田も小林に代えた。9回には小林に代打・大城卓を起用して控え捕手を使い切った。最終的にベンチに残っていた野手は増田大のみ。執念の采配が実を結んだ。

 試合前からナインは一つになっていた。前夜、右翼からの悪送球が決勝の適時失策となったオコエ。一夜明けても責任を痛感していたが、坂本や小林ら先輩の励ましの言葉に救われた。「練習中もなかなか切り替えられていなかったんですけど、皆さんが『なに引きずってんだよ』みたいに言ってくれて。本当に感謝です」。絶対に借りを返すと決意し、5点を追う7回に代打で反撃の左前適時打。チームは息を吹き返した。

 劇的勝利で連敗を3で止めて借金1。逆転2位の条件はDeNAが残り3戦全敗、巨人3戦全勝と厳しい状況は続くが、CS第1Sで対戦する相手に底力を見せた意味は大きい。9回の打者11人5安打5得点の猛攻は貴重な成功体験としてポストシーズンの糧になるはずだ。

 阿部監督も「相手に多少は嫌な印象も持たせられたんじゃないかなと。まだまだチャンスあるのでね。

もう全て勝つつもりでやりたい」と言葉に力を込めた。快晴の横浜デーゲーム。希望の光が消えかけた絶体絶命の危機で巨人が踏みとどまった。(片岡 優帆)

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