東京六大学野球秋季リーグ戦第3週第2日▽慶大―明大(28日・神宮)

 東京六大学野球連盟の創設100周年を記念するレジェンド始球式には、明大OBで、ヤクルト、巨人、阪神で通算306本塁打を放った強打者・広沢克実氏(63)が登場。ストライク投球はならず天を仰いだが、堂々のノーバン投球で神宮の杜を沸かせた。

 大役を終えて開口一番、「ちきしょう、ボールか!」と悔しげな表情を浮かべた。「3日前に練習していたら、ぎっくり腰になっちゃって…」。人気は今でも抜群で、スタンドからは温かい拍手が送られた。「こんな素晴らしい機会をいただいて、東京六大学野球連盟やお客様、両チーム、全ての皆さんに感謝したい」と礼を述べた。

 明大時代の思い出を聞かれ「島岡御大との思い出が一番です」と恩師の島岡吉郎さんに思いを馳せた。「あの人のもとで4年間やれたことは、勲章だと思っています。内容はお話できませんが…。プロに行ってからも『こんなことで済むなら』と19年間、図々しくできたのは、あの方のおかげ」と感謝した。

 現在はインターネット放送「BIG6.TV」の解説者として、東京六大学野球の後輩たちに人情味あふれたメッセージを送る。

 そんな広沢さんにとって、神宮球場とは?

 「産湯につかったのは茨城ですが、育ててもらったのは神宮球場ですね」

 粋な言葉で、学生野球の聖地への愛を表現した。(加藤 弘士)

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