◆JERA セ・リーグ ヤクルト4―4巨人=延長12回=(28日・神宮)

 現在の巨人打線を見て、優勝しながらCS最終ステージで敗れた昨季との、いい意味での違いを感じた。5番以降の打線の厚みだ。

 この日はリチャードが5番に入った。打席内容を見て改めて、変化を感じた。安打だけでなく、凡打の内容もいい。トレード加入直後は、レフト方向を向いて振っているように映り、もろさを感じさせたが、窮屈に打つ感覚をつかみ、センター方向や逆方向にいい打球が飛ぶようになった。首脳陣が「5番で使ってみよう」と思ったのも納得できる。

 タイムリー2本の中山は、去年の後半からスイングに強さが出ている。自分の手元にボールを引いてくるような間がいい。出場機会を得る中で、打席での落ち着きも出ている。少ないチャンスで「何とかいいところを見せないと」という段階は超えたといえる。

 昨年のCS最終ステージでは5番が6試合で22打数無安打。4番の岡本はことごとく勝負を避けられた。CSではさらにマークがキツくなるだけに、後を打つ選手の存在がカギを握る。

リチャードと中山の成長に加え、後半戦で多く5番を担ってきた岸田は得点圏に強い。「岡本の後」がしっかりしていれば、岡本にも好影響を及ぼす。CSでは昨季以上の得点力を期待できそうだ。(野球評論家・清水 隆行)

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