◆米大リーグ レッドソックス4―3タイガース(28日、米マサチューセッツ州ボストン=フェンウェイパーク)

 渡米後3年目で初のプレーオフ進出を果たしたレッドソックスの吉田正尚外野手は28日(日本時間29日)、本拠地で行われたレギュラーシーズン最終戦(対タイガース)に「3番・DH」で先発。第1打席に右翼へ先制4号ソロを放つなど4打席1安打1打点1得点。

打率2割6分6厘で、レギュラーシーズンを終了した。

 昨オフに右肩手術。開幕から長期離脱も、7月9日に復帰後55試合に出場し、26打点16得点3盗塁10四球24三振。30日に開幕するワイルドカードの対戦相手はヤンキースに決まった。

 10月に繋がるアーチが、秋晴れの空にかかった。初回。吉田はカウント1―0から、先発右腕パダックのチェンジアップを捉えた。飛距離384フィートの打球は、右翼席へ。4試合ぶり本塁打となる4号先制ソロが、自身初のプレーオフに弾みをつけた。

 「真っ直ぐ(のタイミング)で待っていて、チェンジアップが浮いてきた。バットがうまく乗って、前でとらえることができました」

 前日の第2打席は、メジャー通算1200打席で最速となる打球速度112・4マイル(181キロ)の二直。「感覚は良かったですけど、もう少し打球が上がれば」と語った。

感覚を修正して挑んだ第1打席で、打球角度24度と理想のスイングを披露。右肩手術の影響で肩の開きが早くなっていた中、チェンジアップに苦戦していたが、手応えを残す一発だ。直近9試合で5度の複数安打、打率3割6分8厘、OPSは1・005。2本塁打6打点と、力強く公式戦をフィニッシュした。

 春季キャンプでは、打率2割8分6厘&7打点でオープン戦自己ベストを出したが、「外野手として復帰してほしい」という球団の要望を受け入れ、フロリダ州のキャンプ施設に残留。孤独な戦いが続いた。ブレグマン三塁手の加入余波で、主砲ディバースがDHに転向し、外野手での復帰を求められた。一塁手カサスの負傷後は、ディバースが一塁転向に難色を示し、6月に電撃トレードされた。

 様々な葛藤はあったはず。だが、吉田は「自分でコントロール出来ることではない。行けと言われた時に、ベストパフォーマンスを出せる準備をするのが、最低限プロとしては当たり前のこと」と、黙々とリハビリに励み、機会に備えた。今月に入って肩の状態が安定。

早出でファッセ打撃コーチと打ち込み、本来のルーチンを取り戻して調子を上げてきた。

 「自分が思った3年目にはならなかった。スタートからチームに帯同出来ず、復帰してからも、思い描いていた結果にならなかったが、最後、チームの順位が決まる中でプレーできたのは大きかった。ここからが本当に勝負。何とか良い結果を残してチームに貢献できれば」。オリックス時代の日本シリーズでも、WBC日本代表でも、ゾーンに入った吉田は大舞台で派手な活躍をみせてきた。初のプレーオフ。本来の勝負強さを証明する。

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