オーストリア2部のSKNザンクト・ペルテンでテクニカルダイレクター(TD)、さらにU-18監督とアカデミーダイレクターを兼務するモラス雅輝氏(47)が、スポーツ報知の取材に応じた。現場と強化サイドの両方を知る意味や、指導者の分業制など欧州で起こっている変化、さらに日本人の欧州移籍における移籍金の構造についても知見を語った。
移籍金とは「ポテンシャル」ではなく「契約解除金」である
近年、日本人の欧州移籍が急増する中で、日本のファンやメディアからは「Jリーグはタレントを安売りしすぎている」という批判の声も上がる。しかし、モラス氏はこの議論に対し、欧州の現場視点から冷静な分析を示す。
「まず理解すべきは、欧州における移籍金とは、正確には『契約解除金』であるということです。これは単なる将来性への対価ではなく、現在結んでいる『年俸』と『残りの契約期間』に直接的に比例するものです」
欧州の主要クラブが若手に数十億円の値をつけられるのは、その選手に最初から高額な年俸を支払い、4~5年の長期契約を提示できる「投資体力」があるからだという。
「例えば、日本の若手選手の年俸が数百万円から1200万円程度で、契約期間も残り少ない状態であれば、買い手側が数億円、数十億円の解除金を支払う論理的根拠が乏しくなります。これはJリーグの強化担当者の努力不足ではなく、クラブの経営規模という絶対的な差が、そのまま移籍金という数字に表れているのです」
「ポーランドならもっと安い」というシビアな現実
一方で、日本人の価値自体は上昇している。昨年は川崎フロンターレからトットナムに移籍したDF高井幸大の移籍金(契約解除金)が約10億円に達した例もある。しかし、欧州の強化担当者たちの目は依然としてシビアだ。
「ある(欧州クラブの)SDは『正直なところ、ポーランドに行けば日本人と同レベルの選手がもっと安く獲得できる』と話していました。日本国内では『移籍金が低い』と感じるかもしれませんが、Jリーグと同規模の欧州リーグや、欧州域外のリーグでいくらの移籍金が動いているのか、俯瞰して見る必要があります」
また、欧州側が抱く「リスク」と「言語」の壁も大きい。
「JリーグやACLでの実績は、欧州のSDにとって市場価値に直結しにくいのが現状です。私がACLの価値を理解していても、欧州側が重視するのはCLやEL、あるいは欧州内の中堅リーグでのパフォーマンスです。
日本サッカーの成長に必要な「構造」への理解
日本人選手がさらに高い評価を得るための「特効薬」はないとモラス氏は言う。Jリーグ全体のレベルを底上げし、各クラブが資金力を高めることで、リーグとしての格を上げていく地道な作業が必要だ。そして、ファンに対しても「情報の深さ」を求める。
「ドイツの専門誌『キッカー』などでは、選手のインタビューと同じくらい、SDや財務担当、移籍ビジネスの規定に関する記事が日常的に読まれています。日本でも、選手の声だけでなく、クラブがいかにして存続し発展するかという『構造』に関する情報が増えるべきです。『なぜこの金額で移籍したのか』を感情論ではなく経営的なリテラシーを持って理解する。その土壌が整うことで、クラブはより大胆な投資が可能になり、結果として選手の価値も守られるようになります」
最後に、モラス氏は日本のファンへ向けて前向きなメッセージを送った。
「日本サッカーは着実に成長しています。決して悲観する必要はありません。ただ、グローバルな市場構造を理解し、地道に予算規模を増やして体力をつけていく。

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