2日に行われたプロボクシング東京ドーム興行で、世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)4団体統一王者・井上尚弥(33)=大橋=に判定負けした前WBC&IBF世界バンタム級(53・5キロ以下)統一王者で世界3階級制覇王者・中谷潤人(28)=M・T=。米ボクシング専門メディアのリング誌は井上戦での激闘ぶりを評価し、日本時間5日までに発表した最新のパウンド・フォー・パウンド(PFP、全階級を通じての最強ランキング)でこれまでの6位から7位に変更と、ランキングは一つ下げるまでにとどめた。

井上は1位に返り咲いた。

 中谷が世界王座のベルトを返上してから約8か月が経過。トップ10人のうち、世界ベルトを現在保持していないのは中谷ただ1人。それだけ世界的な評価は高いという証しだ。むしろ、井上戦での戦いぶりに評価が上がったという声も出ているが、中谷の激闘ぶりにねぎらいと激励のメッセージを送ったのが、中谷が15歳の時からの親友2人だ。

 WBO世界フライ級(50・8キロ以下)王者アンソニー・オラスクアガ(27)=通称トニー、米国=は同5日までに自身のインスタグラムにメッセージを投稿。「ジュントは大きなチャンスをつかみ、世界ナンバーワンと戦った。彼はベストを尽くした。5万5000枚を売り切った東京ドームで彼は本当に偉大であることを証明してみせた。君が全てを犠牲にしてボクシングに自分自身をささげて、どれだけ遠くに行けるのだろうということを見ながら、僕も同じ事をしようと刺激を受けてきました」とつづり、「ジュント、いつも僕をそばにいさせてくれて、このような瞬間に君と一緒にいることができてありがとう」などと感謝した。

 また、バンタム級を主戦場とするエイドリアン・アルバラード(27)=米国=もインスタグラムで親友をねぎらった。「僕らは10年以上も、このような時のために励み、お互いに尽くし合い、犠牲にもなりながら、その日を迎えた。

そして勝利を祈った。兄弟が歴史を作ることはできなかったけど、東京ドーム・アリーナで5万5000観衆の中、世界一になるために戦った私の兄弟、ジュントを誇りに思っています。彼がどれだけ遠くまで来たか、そして彼がどれだけのことを犠牲にしてきたか、分かっていますから」と胸に秘めた熱い思いを明かした。

 中谷とトニー、エイドリアンは、中谷が中学卒業後、単身で米国へ武者修行に渡った時からの親友。中谷は15歳で米ロサンゼルスに渡り、しばらくしてルディ・エルナンデス・トレーナーの指導を受けることになったが、時を同じくしてエイドリアンもルディ氏の手ほどきを受けた。その頃、トニーもルディ氏の元にやって来て、ボクシングを始めた。

 日本からの若いボクサーの力を試そうとしたのか、初日にスパーリング相手を務めたのがエイドリアン。だが、左一発で鼻の骨を折られてしまう。トニーはボクシングにいま一つ身が入らない。そこでルディ氏は中谷にスパーリングの相手をさせた。中谷はルディ氏の指示どおり、容赦なく強烈な左ボディー一発を撃ち込むと、トニーはもんどり打って泣きじゃくったという。以来、トニーは真剣にボクシングと向き合った。

エイドリアンもボクシングに真摯(しんし)な中谷に敬意を表し、大好きになった。3人は生活を共にしながら、ボクシングで切磋琢磨(せっさたくま)し、将来の夢を広げ合った。「選手は他にもいたけど、何人かはボクシングをやめちゃって、今も続けているのはこの3人だけ。2人は空気作りというか、士気を高めてくれる存在。たくさん刺激をもらっています」と中谷は後に振り返り、親友への感謝を口にした。中谷は一足先に日本で2015年4月にプロデビュー。エイドリアンは20年2月、トニーは中谷を追いかけるように、同年9月にプロのリングに上がった。

 「物語はここで終わらない。いつも手本になってくれてありがとう。同じ偉大さを追いかけているから。僕らはまだまだ達成することがある」とトニー。エイドリアンは「僕の兄弟たち、ジュントとトニーに愛を込めて。

君たちは僕に夢を見続けさせてくれている。ありがとう。旅はまだ続くよ」と友情に感謝した。

 戦績は中谷が32勝(24KO)1敗、オラスクアガが12勝(9KO)1敗、アルバラードが13勝(6KO)3敗2分け。

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