大相撲夏場所初日(10日・両国国技館)

 横綱・豊昇龍(26)=立浪=は小結・高安(36)=田子ノ浦=の上手投げに屈し、黒星発進となった。取組で右足を痛めたとみられ、2日目以降の出場が危ぶまれる状況。

横綱・大の里(25)=二所ノ関=も初日から休場しており、横綱不在となる可能性も出てきた。大関復帰の霧島(30)=音羽山=は西前頭筆頭・隆の勝(31)=湊川=をはたき込んで白星。大関・琴桜(28)=佐渡ケ嶽=は東前頭筆頭・藤ノ川(21)=伊勢ノ海=に突き出された。

 結びの一番の思わぬ結末に、満員札止めの館内が騒然となった。豊昇龍は高安の上手投げを耐えようとしたが、両脚が広がった状態で尻餅をついて敗れた。しかし、すぐに立ち上がれない。右太もも裏付近を気にして土俵を下りると、若者頭らの肩を借り、土俵側に向き直って一礼。再び助けを借りて東の花道を引き揚げ、車いすに乗って国技館内の診療所に向かった。

 右脚を引きずりながら診療所を出たのは、取組から約50分後。報道陣の質問を手で制し、帰りの車に乗り込んだ。関係者によると、患部を冷やし、検査のため病院に向かった。痛めた瞬間には「音がした」と漏らしていたという。

仕切りで高安と20秒以上も視線をぶつけ合うなど気合十分で臨んだ横綱を襲ったアクシデントに、八角理事長(元横綱・北勝海)は「空回りだよ」と指摘。浅香山審判長(元大関・魁皇)は「歩くのもやっとだった。肉離れなら、すぐに(出場)というわけにはいかない。心配ですね」と表情を曇らせた。

 昇進8場所目での悲願の横綱初優勝に向け、順調に調整を進めてきた。3~4月の27日間の春巡業は皆勤。番付発表後は出稽古で27番取る日もあり「今場所前はいい稽古ができている」と充実感を漂わせていた。師匠の立浪親方(元小結・旭豊)によると、場所直前に左膝に蜂窩織炎(ほうかしきえん)の症状が出たものの、この日の朝は「力は出せるので大丈夫。問題ないです」と答えていたという。

 今場所は横綱・大の里が休場し、1年ぶりに初日から一人横綱となった。場所前には「仕事が2倍になって、責任も2倍になった」と話しながらも、最高位としての責任感を胸に初日を迎えていた。だが、一転して2日目以降の出場が不安視される事態に。

初夏の土俵は、波乱の幕開けとなった。(林 直史)

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