卓球の世界選手権団体戦は10日、ロンドンで閉幕した。日本は男女ともに決勝で中国と対戦。

張本美和(木下グループ)、早田ひな(日本生命)、橋本帆乃香(デンソー)の女子は2―3。張本智和(トヨタ自動車)、松島輝空、戸上隼輔(井村屋グループ)の男子は0―3で敗れ、銀メダルだった。大会をスポーツ報知評論家の平野早矢香さん(41)が総括した。

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 女子決勝は王曼昱(オウ・バンイク)、孫穎莎(ソン・エイサ)選手にどうやって勝っていくのかというところに注目していました。その中で第1試合の張本美選手はさすがのプレーでした。一度も勝ったことがなかった王選手に対し、得意のバックハンドをできるだけ使わせないように先にフォア側に外していったり、積極的にどんどん仕掛けていきました。武器のバックストレートの攻めの形、コース取りも徹底できていました。

 一方で孫選手はいろんな試合を見てきましたが、今回の決勝が一番強かったという印象を受けました。自分たちが劣勢の場面でもラリー戦で崩れないのはもちろん、その前のサーブ3球目、レシーブ4球目から打点の高いボールでいつも以上に勝負に来ていました。第2試合の早田選手、第4試合の張本美選手ともに攻めどころを探すのが難しく、なかなか突破口を見いだすことができませんでした。

 第3試合では橋本選手が蒯曼(カイ・バン)選手によく勝ちきりました。ポイントは3ゲーム目の入り。

相手が橋本選手のカットに慣れてきて、いいリズムで打ち始めていた中で、台と近い位置から深く質の高いカットを送ったり、サーブを変えたり、勝負所での技ありの攻撃も見事でした。日本としては中国の壁の高さを改めて感じる結果とはなりましたが、前回大会から相手が対策を立ててきた中での同じ2勝は価値があります。

 男子は中国も今大会で2敗しているように、どこが勝ってもおかしくないというぐらいレベルが拮抗(きっこう)していました。日本も予選リーグでドイツ、フランスに敗れ、気持ちのコントロールがすごく難しかったと思いますが、決勝トーナメントでそれぞれが役割を果たして立て直していき、決勝も第1試合を取っていれば、どちらに転んでもおかしくない内容。価値ある銀メダルでした。

 張本智選手は今大会、なかなか流れをつかめずに敗れてしまった試合もありましたが、ドイツ戦や台湾戦の第1試合のように、重要な局面で攻めの手を緩めずチームを勢い付ける試合はさすがでした。決勝のプレーもすごく良かったですが、最後の最後で少し足が止まってしまった印象です。前半はミドルのボールにフォアで回り込んで決めにいくようなプレーもあったので、点差が開いていた場面でそういった仕掛けがあっても良かったと思います。

 松島選手は決勝に関しては王楚欽(オウ・ソキン)選手の方がやりにくさを感じているように見え、押している場面もありましたが、第4ゲームで不運な失点があった時に気持ちを切らさずにいければ流れが変わった可能性もあります。戸上選手はカミソリドライブと言われるように振り切る魅力的なボールを持っていますが、決勝でも相手の待っているところに打ってしまう場面が何度かありました。もう少し相手の位置を見ながら、相手の心境を考えながら戦えるようになれば、世界ランキングでトップ10に入ってきてもおかしくない選手です。

 男女ともに選手は悔しい銀メダルだと感じていると思いますが、決勝までしっかり勝ち進んだことは収穫です。

中国の壁、この決勝で勝ち切るというところにはもう一歩、もう一攻めの手数を増やしていく必要はありますが、2年後の次回の団体戦は自国開催の世界卓球になります。私も自国開催の世界卓球を経験していますが、プレッシャーも相当あると同時に、声援で自分たちのプレーを後押ししてもらえるというメリットもあります。今回の悔しさをバネに、このリベンジを必ず福岡で果たしてほしいと思います。(12年ロンドン五輪女子団体銀メダリスト、ミキハウス所属)

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