北中米W杯(6月11日開幕)で森保ジャパンのエース、FW上田綺世(27)=フェイエノールト=がオランダ1部の得点王に輝いた。17日の最終節ズウォレ戦(2―0)は欠場したが、通算25得点で2位に8ゴール差をつけた。

欧州主要リーグでは日本人2人目の偉業。W杯1次リーグの初戦で対戦するオランダ代表でストライカーとして活躍したファンペルシー監督(42)に能力を引き出され、進化を遂げた点取り屋がW杯に弾みをつける称号を手にした。

 日本人FWがオランダリーグの得点王を獲得―。上田が歴史的快挙を成し遂げた。森保ジャパンのエースが31戦25発と驚異の数字を稼ぎ、点取り屋にとって最高の称号を手にした。ファンペルシー監督は、まな弟子に「彼と仕事ができて光栄だ」と賛辞を贈った。欧州主要リーグでは22~23年季のスコットランド1部セルティックで27得点の古橋亨梧(きょうご)に続き、日本人2人目の快挙だ。

 5大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス)に次ぐ立ち位置のリーグで25得点。今季の欧州主要リーグで、上田超えの得点数を記録したのは、プレミアのハーランド(マンチェスターC、26得点)、ドイツ1部のケイン(バイエルン、36得点)、ポルトガル1部のルイススアレス(スポルティング、28得点)の3人のみ。過去に、元ブラジル代表FWロナウドら世界的スターが獲得してきた「オランダ得点王」の栄誉を、日本人が初めてつかんだ。

 最終節ズウォレ戦はベンチ外だったが、背景には前節で順位(2位)が確定していたこと、そしてファンペルシー監督の“愛”があった。元世界的ストライカーの指揮官は明かす。

「彼は常に全力を尽くしてきた。疲れているだろう。W杯の準備に時間を持てるようにした」。オランダにとって、W杯で対戦する日本は“敵国”でもあるが、同僚のDF渡辺とともにオフを与えられた。

 昨季途中に就任した指揮官から評価され、愛された。昨季は21試合7得点だった上田をFWの軸に据えた。「もっと賢く体を使うべきだ」「味方にもっと要求すべきだ」と成長を促した。かつては頭での得点数が少なく、苦手意識も口にしていたが、今季は9点を頭でマーク。成年男子の平均身長は180センチを超え、世界一高いと言われるオランダで猛威をふるい、同国メディアが「上田の利き足は頭だった!」と報じた。

 ゴールから遠のいた時期に同監督は「アヤセにいいクロスが上がっていないだけ」とメディアの質問を一蹴(いっしゅう)し、上田自身も「勝率も上がっているし、伸びている部分。背が高くて体が強い相手には、駆け引きが必要」と語っていた。

 ファンペルシー監督と言えば、14年ブラジルW杯のスペイン戦でマークした伝説のダイビングヘッドが代名詞。

そんなオランダ代表通算50ゴールの点取り屋は、W杯の日本戦で日本のユニホームを着て応援する意向を示している。「オランダ戦以外はね」という条件付きで。恩師さながらの決定力で、上田がオランダに恩返しのゴールを決め、日本を最高の景色へと導く。

 ◆上田 綺世(うえだ・あやせ)1998年8月28日、茨城・水戸市生まれ。27歳。鹿島学園高を経て進学した法大3年時の2019年、A代表デビュー。同年夏、21年からの加入が内定していた鹿島に前倒しで加入。22年7月にベルギー1部サークル・ブリュージュへ完全移籍し、23年夏からフェイエノールト在籍。21年東京五輪、22年カタールW杯出場。代表通算38試合16得点。182センチ、76キロ。妻はモデルの由布菜月。

 ◆ロビン・ファンペルシー(Robin van Persie)1983年8月6日、オランダ・ロッテルダム生まれ。42歳。2002年にフェイエノールトのユースからトップチームデビューすると、イングランドのアーセナル、マンチェスターUなどで活躍。2度(11~12、12~13年)のプレミアリーグ得点王。オランダ代表では3度のW杯に出場し、当時の歴代最多となる50得点を記録。18年の引退後は指導者に転向し、25年2月からフェイエノールトの監督に就任。

 ◆W杯日本代表の1トップと直前シーズン成績

 ▽10年南アフリカ

 本田圭佑

 09~10年はオランダ1部VVVフェンロで18試合6得点、ロシア1部CSKAモスクワで28試合4得点。本大会は2得点

 ▽14年ブラジル

 大迫勇也

 ドイツ2部1860ミュンヘンで15試合6得点。本大会は無得点

 ▽18年ロシア

 大迫勇也

 ドイツ1部ケルンで25試合4得点。本大会は1得点。

 ▽22年カタール

 前田大然 スコットランド1部セルティックで16試合6得点。本大会は1得点。

 ◆主なオランダ1部得点王

 ▽ロナウド(ブラジル)

 1994年~95年シーズン、PSVで33試合30得点。2シーズン後にスペインの名門バルセロナへ移籍し、得点王&バロンドールを受賞。インテル、Rマドリードなどで活躍

 ▽ファンニステルローイ(オランダ)

 PSVで98~99年シーズンから2年連続得点王。2001年、イングランドの名門・マンチェスターUへ移籍。欧州CLとリーグの得点王や、リーグ年間MVP獲得

 ▽ルイス・スアレス(ウルグアイ)

 2009~10年シーズン、アヤックスで33試合35得点。翌シーズン、イングランドの名門リバプールへ移籍。プレミアリーグ得点王、バルセロナ在籍時の15~16年にも得点王に輝いた

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