2014年ブラジルW杯で日本代表を率いたイタリア人指揮官、アルベルト・ザッケローニ氏(73)が北中米W杯(11日開幕)に向け、このほどスポーツ報知のインタビューに応じた。中心選手のMF三笘薫(ブライトン)が負傷で選外となる状況にも、「日本が決勝で勝っても驚かない」と戦力に太鼓判。

12年前、自身が率いたチームが初戦に逆転負けし、1次リーグ(L)敗退を喫した苦い経験から、第1戦オランダ戦(日本時間15日・ダラス)に平常心で臨む重要性を説いた。(取材=倉石千種通信員)

 ザッケローニ氏の優しい口調からは、今でも変わらぬ日本代表への愛情と尊敬があふれ出ていた。代表を率いた10年8月~14年6月までの約4年間を「最高に美しい時間だった」とザック氏は言う。3月のイングランドとの親善試合(ロンドン、1〇0)は現地観戦した。同試合で決勝点を挙げ、攻撃の核として期待された三笘が負傷のため、5月15日に発表された日本のW杯メンバーから外れた。大きな痛手だが、信頼は揺るがないという。

 「彼のけがはとても残念だが、日本は同じ強さをキープできる。私は森保監督に大きな尊敬を抱いている。本当に強いチームを築いた。日本は高い技術を持ち、戦術的にも種類が豊富で、これだけスピードがあるチームはどこにもない」

 26人のW杯代表には、10年南アフリカ開催から5大会連続で39歳のDF長友佑都が選出された。ブラジル大会でも一緒に戦ったまな弟子だ。1か月超の長期戦を乗り越えるべく、チームの精神的支柱として経験豊富なベテランの重要性にも言及した。

 「長友の招集は前向きに受け止めた。インテルでプレーし、欧州での経験があるビッグプレーヤー。みんなから好かれる陽気な性格でチームにポジティブな雰囲気をもたらし、ピッチ内外で彼の存在は重要だ。きっと助けになるだろう」 

 今回のメンバー選考には賛否両論が起きたが、ACミラン、インテル、ユベントスといった名門で、あくの強い選手たちを率いた名将は日本人の献身性を絶賛した。

 「(選出枠が23から26人に増え)日本にとってはより良いことだ。イタリア人はプレーできないと不満が出たりするが、日本人はチームを重んじるから問題がない。みんな礼儀正しく、常に一生懸命やってくれた。ユニホームにとても強い愛着を持っていた」

 14年ブラジル大会、自身が率いたチームは“史上最強”と評され、MF本田圭佑らが「優勝」を公言しながらも、初戦の逆転負けが響き、まさかの1次L敗退に終わった。野心むき出しで臨んだ初戦のコートジボワール戦。先制しながら、相手のエースFWドログバが途中投入された後、流れが一変した。プレミアリーグで2度の得点王、欧州チャンピオンズリーグ制覇も経験したスーパースターの登場に会場は大興奮。雰囲気にのまれたかのように日本は、立て続けに失点して敗れた。

当時の教訓から今回、初戦のオランダ戦が最も大事だと強調する。

 「私のチームは勝てると信じていたし、みんな勝利を信じていたが、失点後に自信や安定が揺らいでしまった。初戦であまりハイテンションにならないことが大事なんだ。まず初戦に集中し、一試合一試合、勝ち進むことが大切だ。日本は実力がある。不安、緊張、焦りの感情を外に吹き飛ばすこと。不安は、自信やポジティブなエネルギーを消耗する。選手たちは平常心で臨めばいい」

 昨年はブラジル代表(ホーム、3〇2)を史上初めて破り、3月の英国遠征は2連勝。選手からは、さらに気を引き締めなければといった声が多く聞かれる。優勝を目標に据える森保ジャパンが注意すべき点や、大会の展望を語った。

 「日本が強いのは驚きではない。決勝で勝っても驚かない。

ただ、迷信(根拠もなしに信じること)は良くない。周りの重圧や過度な責任から自由になり、できることをしっかりやれば勝てる。森保監督は良い仕事をしている。私は前回FIFAの仕事をしている時、日本がスペインに勝って大喜びして怒られたくらい。今回イタリアが出場しないから、ファンの立場で日本を応援しているよ」

 ◆日本代表のブラジル大会コートジボワール戦 前半16分に左サイドからパスを受けたMF本田圭佑がゴール左上に突き刺し、日本が先制した。しかし、後半17分に相手が同国の英雄、189センチの“切り札”ドログバを投入すると、サイドから猛攻をくらい、後半19分、21分と立て続けに失点。その後は1トップのFW大迫勇也に代えてFW大久保嘉人を、後半追加タイムにはDF吉田麻也を前線に上げてパワープレーを試みたが、ネットを揺らすことはできず、1―2と痛恨の逆転負けを喫した。

 ◆アルベルト・ザッケローニ 1953年4月1日、イタリア・メルドラ生まれ。73歳。1998~99年シーズンにACミランでイタリア1部、セリエA制覇。インテル、ユベントスでも指揮を執った。10~14年に日本代表を率いた。

22年W杯カタール大会は国際サッカー連盟(FIFA)の技術研究グループに参加。24年に日本サッカー殿堂入り。

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