◆第67回宝塚記念・G1(6月14日、阪神競馬場・芝2200メートル)

 クロワデュノールは強い。目の前で見た天皇賞

北村友が「ベストではない」と指摘する3200メートルで先行策から自ら動き、前を潰し、2~7着がすべて差し馬という競馬を一枚も二枚も上の能力でねじ伏せた。今の日本で芝中長距離NO1であることは疑いようがない。

 “適距離”にも戻る今回のカギは、2か月余りでのG1・3連戦。その一点に尽きる。そう強く思うのは17年に父キタサンブラックの宝塚記念を取材したからだ。今回と同じように大阪杯、天皇賞・春を連勝しての出走で単勝1・4倍。しかし、好位から全く伸びずに9着と沈んだ。武豊が「全部勝つっていうのは難しいですね」とこぼせば、北島三郎オーナーは「馬が『疲れている』と俺に言いたかったんじゃないかな」とポツリ。異例の坂路3本乗りを取り入れた大阪杯など、“鉄人”のイメージが強かったため衝撃は大きかった。

 秋の3連戦に比べ、一戦ごとに距離が大きく異なる春。実際に過去10年でこのローテに挑んだのは3頭のみだ。ただ、昨年のジャスティンパレスは3戦目の宝塚記念で3着と着順を上げた。

「最初から、いければ3戦という予定でした。一戦一戦しっかり仕上げた中で、いければでした」と杉山晴調教師は振り返る。ただ、意外にも過酷ではなかったという。「調整は秋より春の方がしやすかった。パレスは少なからず輸送減りする傾向があったので、長距離輸送がないぶんですね」。

 関西馬にホームの利が大きいことを認識しつつ、ふと思い出した。パレスには前年秋もG1・3連戦に挑んだ“経験”があったのだ。一方、クロワは2歳時から常に適度な間隔を空けており、天皇賞・春は国内で初の中3週での競馬。レースで勝利をつかんだが、今まで記憶にないほど、全能力を絞り出すような激闘だった。現役屈指の能力が経験を凌駕(りょうが)するのか。偉大な父でも超えられなかった厚い壁。打ち崩すのは決して楽ではない。

(山本 武志)

◆古馬の芝中長距離G1 春は大阪杯(阪神・芝2000メートル)、天皇賞・春(京都・芝3200メートル)、宝塚記念(阪神・芝2200メートル)と3戦ある。宝塚記念は昨年から施行時期が2週早まり、中3週、中5週の間隔で行われ、3連勝なら褒賞金3億円が入る。大阪杯がG1に昇格した17年以降、この3戦にすべて出走したのはキタサンブラック(17年)、スマートレイアー(18年)、ジャスティンパレス(25年)の3頭だけ。秋も天皇賞・秋(東京・芝2000メートル)、ジャパンC(東京・芝2400メートル)、有馬記念(中山・芝2500メートル)を3連勝すれば褒賞金3億円が入る。

 ◆ジャスティンパレス 2歳時からホープフルS2着などがあったが、4歳時から本格化。23年天皇賞・春でG1初制覇を飾ると、その後も長く一線級で活躍。24年秋、25年春秋と3シーズン連続でG13連戦出走というタフな馬で、25年有馬記念7着を最後に引退した。

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