◆第108回全国高校野球選手権神奈川大会▽準決勝 横浜4―0慶応(24日・横浜)

 神奈川では、県勢初の4季連続甲子園を狙う横浜が、3年前の夏決勝で敗れた慶応を下して県内38連勝。9回2死まで無安打、3投手による1安打完封リレーで決勝進出を決めた。

今秋ドラフト1位候補右腕・織田翔希投手(3年)は、自己最速を3キロ更新する157キロをマークし、6回0/3を無安打無失点と快投した。26日に桐光学園との決勝戦に臨む。

 過去の自分を、軽々と超えていった。2回2死。横浜・織田が、6番打者に投じた初球と5球目が157キロをたたき出した。初回に計測した自己最速156キロを更新する世代最速の投球に、「ビックリしているところもある。(球場のどよめきが)楽しいという気持ちがありました」。甲子園まであと1勝に導く投球を、冷静に振り返った。

 強烈な存在感を放ったが、アクシデントとの闘いもあった。序盤から右ふくらはぎの上部に違和感があり、5回投球練習時には6分間治療を受けて続投。7回もマウンドに上がったが、先頭への投球中に再び異変を訴えて降板した。「9回投げたかったなという思いが強くある」と悔しがったが、降板直前も154キロを計測。

6回0/3を無安打無失点、直球の大半が150キロ超の異次元投球で慶応打線をねじ伏せた。

 織田にとっても特別な一戦だった。3年前の23年、横浜は夏の神奈川大会決勝で慶応に逆転負け。村田浩明監督(40)は、心身を整えるため家族で九州へ旅行に出かけた。すると、福岡で中学教師を務める日体大の先輩から連絡をもらい、織田の存在を知った。もし甲子園に出場していたら、師弟は出会っていなかった。指揮官は感慨深げに言った。

 「慶応さんと試合して、あそこで負けていなければ、織田と会えてなかった。だから織田に、慶応が上がってきた時には『お前で行くぞ。運命的なものだからな』と話をしていた。大事な試合を織田で勝てたのはすごく良かった」

 織田も思いは同じだった。

 「慶応さんは、自分としても特別な思いがある。

本当に3年間の集大成。ここまでやってきたものを出そうという思いで投げた」

 この日はNPB12球団とメジャー4球団の少なくとも16球団が集結した。ロッテの高橋チーム管理・育成部長、DeNA・河原アマスカウトはともに、「高校生のレベルではない」と絶賛した。

 チームは県内での連勝を38に伸ばし、県勢史上初の4季連続甲子園に王手。エースは「(足は)問題ないですし、次戦もしっかりと準備して臨みたい。まずは神奈川で優勝することが目標」と静かに闘志を燃やした。物語はまだ終わらせない。見る者の想像を超えるドラマを、その右腕で描いていく。(小島 和之)

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