◆第108回全国高校野球選手権 第7日 ▽2回戦 智弁和歌山2―1社(11日・甲子園

 春夏通算4度の優勝を誇る智弁和歌山(和歌山)が2021年夏に全国制覇を果たして以来、5年ぶりに初戦を突破した。その後、出場3大会連続で初戦敗退しており、負ければチームワーストタイとなる一戦にナインが奮起。

エース右腕・和気匠太(3年)が6回を2安打無失点、6奪三振と好投すると、打線も少ないチャンスで得点を挙げ、社(兵庫)との近畿対決に勝利した。

* * * * *

 呪縛を解き放つ快投だった。負ければ4大会連続初戦敗退となり、初出場の1987年から92年までのワースト記録に並ぶ。輝かしい歴史を誇る智弁和歌山のプライドをエースの和気が6回無失点で守り抜いた。

 「この1勝に本当に懸けていた。この一戦を乗り越えるんだっていう思いで全員で今までやってきたのでうれしいです」。3回に1死一、二塁を招いたが、投ゴロ併殺打に料理。その後も危なげない内容に笑みがこぼれた。

 背番号1をつけながら、和歌山大会は調子が上がらず登板は3試合だけ。打たせて取ることを意識しすぎて連打を浴びる悪循環に陥った。決勝ではマウンドにも上がれなかった。甲子園でやり返そうと練習しながらも、モヤモヤが晴れない中、7日の練習で覇気のない動きをするエースに中谷仁監督(47)から雷が落ちた。

「1番をつけているやつがそんな顔して野球やるな。やる気ないなら出ろ!」。目が覚めた。「吹っ切れました。悔しいというより、その言葉がうれしかった」。覚悟を決めた和気から迷いが消えた。

 相棒のU―18日本代表候補・山田凜虎(りとら)捕手も「今日はブルペンから“過去イチ”というくらい球が来ていました」と好リードで支えた。打線は2回に内野ゴロで先制。3回には犠飛と渋く得点を重ねた。守りでも二遊間の好プレーや、右翼手・井本がダイビングキャッチで応えた。

 7回には2番手・長井心海が連打で1点差に迫られ、なおも1死三塁のピンチを招いたが、カウント0―1から仕掛けられたエンドランをピッチドアウトし、飛び出した三塁走者を刺すビッグプレーも生まれた。捕手・山田からのアイコンタクトに中谷監督が反応。

「(山田が)ここじゃないのという目でこっちを見ていたんで、2、3球続けても外したろうかなと思った」と指揮官。ベンチ外のメンバーもビデオなどで研究した成果が実った。

 初戦の連敗ストップに中谷監督は「その流れをこの代の子たちが一生懸命断ち切ってくれて、本当に嬉しく思います」と最敬礼。“強力打線”の枕ことばで語られることが多い智弁和歌山が磨いた投手力、守備力を武器につかんだ5年ぶりの夏白星。和気は「(打撃陣が注目される悔しさは)あります。反骨心もあります。『打ち勝つ』とばかり言われて。いつか『投げ勝つ』と言われたい。今日は投げ勝ちました!」と高らかに宣言。5年前の先輩たちと同じ頂点に上り詰める。(高柳 義人)

 ◆和歌山の対兵庫 11勝8敗(春5勝5敗、夏6勝3敗)。智弁和歌山は08年春準々●0―2東洋大姫路、19年春準々●3―4X明石商(9回サヨナラ)で0勝2敗だった。

社に勝利して兵庫勢初勝利。

 ◆初戦黒星ワーストタイ阻止 智弁和歌山は、夏の大会に22、24、25年と初戦3連敗。敗れた場合は初出場の87年から、89、91、92年の初戦4連敗に並ぶ、チームワーストタイ記録になるところだった。

 ◆強打の智弁和歌山

 ▽2000年 武内晋一(元ヤクルト)らを擁し、6試合で打率4割1分3厘、計100安打、11本塁打の大会記録(当時)をマーク。97年以来3年ぶり2度目の優勝。

 ▽21年 中西聖輝(中日)、渡部海(青学大)を擁し、4試合で打率3割6分3厘、53安打、2本塁打。2000年以来21年ぶり3度目の優勝。

編集部おすすめ