◆東都大学野球秋季リーグ戦第4週第1日▽亜大4―0国学院大(13日・神宮)

 今秋ドラフト1位候補に挙がる亜大の最速158キロ右腕・川尻啓人投手(4年)が、史上11人目12度目のノーヒットノーランを達成した。終始150キロを超えるストレートを投じ、国学院大打線を圧倒。

東都リーグでの「ノーノー」は、04年秋の亜大・山木正博以来(対東洋大)22年ぶりの快挙で、チームを開幕7連勝に導いた。国学院大にあと1勝して4つ目の勝ち点を挙げれば、22年春以来、9季ぶり28度目の優勝が決まる。このほか、東洋大と青学大が先勝した。

 ドラフトを9日後に控えた神宮のマウンドで、川尻がこれ以上ないパフォーマンスを見せた。9回2死、最後の打者を遊飛に仕留める。東都リーグで22年ぶりとなる無安打無得点の快挙を達成すると、マウンドで捕手の前嶋藍と抱き合った。「うれしいです。今夜は、寮の部屋でウィニングボールを眺めたいですね」と柔和な笑みを浮かべた。

 終始150キロを超える直球を投げ込み、縦のスライダー、スプリットも鋭く変化した。5回に自らのエラーも絡んで1死二、三塁のピンチを迎えたが、国学院大の7番・石野嶺をスライダーで三振に斬り、次打者も二直に打ち取った。「三振は狙っていました」と川尻。敵将の鳥山泰孝監督(51)は「分かっていても打てないボールが多かった」と脱帽した。

 「エンジンは大学生投手で一番」とスカウトが声をそろえる逸材。189センチ、93キロの堂々たる体格で、ソフトバンクの剛腕クローザー・杉山一樹と姿を重ねる声もあるが、春まではコントロールのばらつきという不安を抱えていた。ところが、秋は計30回1/3を投げて被安打12、与四死球14。制球に苦しむこともなく、防御率1・29でランキングのトップに立つ。「リリースが安定し、何かをつかみつつある感じ。この時期に投球が上向くのは印象がいいですね」と巨人・木佐貫スカウトはうなづいた。

 前週の青学大戦ではドラフトの目玉とされる鈴木泰成投手に投げ勝ち、この日の快投で優勝まであと1勝になった。「(青学大戦は)一番自信がついた試合です。優勝したら(ドラフトの)順位も上がるかな」と川尻。運命の「10・22」へ、押しも押されもせぬ1位候補として存在感が高まってきた。(浜木 俊介)

 ◆川尻の投球内容 打者数31、投球数120。アウトの内訳=三振11、内野ゴロ6、内野ゴロ併殺1、内野フライ4、外野フライ4、3四死球。

 ◆川尻 啓人(かわじり けいと)04年10月23日、富山・富山市生まれ。21歳。高岡商では22年夏の甲子園に背番号3で出場。敦賀気比との1回戦に先発登板したが、6回7失点(自責2)で敗れる。亜大では2年春にリーグ戦デビューし、通算23試合6勝2敗、防御率3・15。189センチ、93キロ。右投左打。

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