令和3年度がスタートし、国土交通省鉄道局関係は令和2年度当初より1%少ない国費1075億円、自治体負担などを合わせた事業費ベースでは8%多い5646億円の予算額で、整備新幹線の建設、都市鉄道ネットワークの充実、鉄道駅バリアフリー化の推進などに取り組む(予算額は1000万円単位で四捨五入)。同じ国交省所管の交通インフラ分野では、道路局予算は2兆665億円(国費)で鉄道局予算の20倍弱という格差がみられる。
関心の高い整備新幹線は、国費804億円で前年度と同額ながら、事業費4860億円で10%の増(年度初の予算配分額は4594億円)。新幹線を建設する鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)の事業費に相当する財政投融資は3167億円で、前年度の1316億円に比べ2.4倍と、大幅に増額された。
現在建設中の北海道、北陸、九州(西九州ルート)に続く整備新幹線関係では、ルートが決定済みの北陸新幹線敦賀―新大阪間の環境影響評価を含む設計施工方法調査などに、整備新幹線建設推進高度化等事業費補助金として13億円を予算化。北海道新幹線と貨物列車が共用する、青函トンネルの走行調査にも必要な予算を確保した。
都市鉄道では、コロナ禍の収束を見越した空港アクセスに力を入れるのがポイント。大阪市中心部の地下を南北に貫いて、関西国際空港と大阪・新大阪駅を結ぶ、「なにわ筋線整備」に都市鉄道整備事業費補助(地下高速鉄道)で88億円の事業費を計上した。
羽田空港アクセスでは、JR東日本が2021年1月に国交省の事業許可を受けた鉄道新線の「羽田空港アクセス線」に加え、京浜急行電鉄が列車増発に向けて構想する、羽田空港第1・第2ターミナル駅の引上線(車両入換えなどに使う専用線)の設計着手をトピックスの形で紹介。北海道の新千歳空港でも、関係者連携によるアクセス改善の話題を取り上げている。
このほか、鉄道駅のバリアフリー化推進、ホームドア整備促進、駅改良による街づくりとの一体整備といった、鉄道の利便性向上やイメージアップにも必要な予算を確保して国の事業として取り組む。
年度替わりに合わせた国の鉄道政策では、「国鉄債務処理法(通称)」の改正法案が2021年3月26日に設立し、4月1日から施行。JR北海道、JR四国、JR貨物の3社に対する支援措置の10年間延長が決まった。
文:上里夏生
(画像:国土交通省鉄道局)