若返ったドイツ 3大会連続のGL敗退は許されない

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ドイツの若きアタッカー、ヴィルツやヴォルテマーデらにとって初のW杯だPhoto/GettyImages

グループEは大会初出場で注目されたキュラソー代表が組み込まれたグループだが、ドイツ代表、コートジボワール代表、エクアドル代表とその他の3カ国は実力のあるチームが揃っている。全グループを見渡しても厳しいほうで、なかなか読みの難しい組み合わせとなっている。

もっとも突破の可能性が高そうなのはもちろんドイツだが、近年はあまり国際大会で目立った成績を残していない。

なにしろ、W杯では2大会連続でグループリーグ敗退を味わっている。ロシア大会ではメキシコ、カタール大会では日本と、ともに初戦に敗れたことが尾を引いた。今大会の初戦はキュラソーなので負けることはないだろうが、3大会連続の敗退というのは優勝経験国として許される事態ではないだろう。

ユリアン・ナーゲルスマン監督率いるチームは2年前のEUROと比べてもまた若返っており、経験値という面で不安を残しているのも確かだ。EUROでは代表復帰したトニ・クロースの力を借りるという形でチームをまとめたが、そのクロースもマヌエル・ノイアーももういない。加えてセルジュ・ニャブリも負傷のため欠場することになった。


とりわけ前線はフロリアン・ヴィルツ(リヴァプール)、ジャマル・ムシアラ(バイエルン)、ニック・ヴォルテマーデ(ニューカッスル)と若めのタレントが多く、大会経験者はムシアラとカイ・ハフェルツ(アーセナル)くらいになりそうだ。このあたりも優勝候補として名前が挙がらない理由かもしれない。しかしドイツが躍進した2010年大会のチームも決して下馬評は高くなかったが、若きトーマス・ミュラーやメスト・エジルらの活躍で3位と躍進し、次回2014年の優勝へとつながった。今大会も評判を覆す躍進に期待したいところだ。

注目の初戦は予選最少失点同士の対決

[特集/2026W杯大展望 グループE]ドイツは突破が至上命題 堅守誇る2チームにも躍進の予感

エクアドルの中心はカイセド。ボール奪取からの展開が鍵を握るPhoto/GettyImages

対抗馬とみられるコートジボワールは、若手からベテランまでバランスよく揃ったタレント軍団であり、アフリカ予選グループFを無敗・無失点、かつアフリカ出場国中最多得点で突破した。



基本は[4-3-3]で、オディロン・コスヌ(アタランタ)とエヴァン・エンディカ(ローマ)のCBコンビ、フランク・ケシエ(アル・アハリ)やイブラヒム・サンガレ(ノッティンガム・フォレスト)らハードワークを厭わない中盤を揃えている。崩すのが容易でないチームだ。ウイングには今季ブンデスリーガで12得点7アシストと猛威をふるうヤン・ディオマンデ(ライプツィヒ)らがいる。予選では攻撃的に振る舞っていたが、守りを固めてカウンターという形にこそハマりそうな人材が揃っているのも興味深い。

エクアドルもまた堅守が目を惹くチームで、過酷な南米予選を2位で通過してきた。しかも前回予選のペナルティによる勝ち点-3を受け入れての結果だ。

敗戦数2は南米予選で最少。得点数14も突破国中最少なら、失点数5も最少。しかし、固めて守るだけのチームではない。セバスティアン・ベッカセセ監督は現在ウルグアイ代表を率いるマルセロ・ビエルサを師と仰ぎ、高強度のプレッシングからの鋭い攻撃を得意としている。

チームの中心はモイセス・カイセド(チェルシー)。高いボール奪取力はそのまま攻撃の脅威につながる。
守備陣にはピエロ・インカピエ(アーセナル)などビッグクラブ所属のタレントもおり、最前線には代表最多得点を誇る36歳、エネル・バレンシア(インテルナシオナル)が健在だ。


コートジボワールとエクアドルはいきなり初戦で激突する。堅守を誇る両国のどちらが勝利するかが、そのままグループEの結果を左右すると言っても過言ではないだろう。

最後にキュラソーだが、残念ながら先述の3チームの草刈り場となってしまいそうだ。本大会出場に導いた経験豊富なディック・アドフォカート監督は、病気の娘の面倒を見たいという理由で辞任したが、5月に異例の再就任と人事も二転三転。帰化選手を数多く組み込むことで強化を図り、念願のW杯本大会出場を勝ち取ったが、目標は1勝を挙げることだろう。とはいえ、本番では何があるかわからない。人口わずか18万人の大会史上最小国がどこまで健闘できるか、期待したい。


文/前田 亮

※電子マガジンtheWORLD317号、5月15日配信の記事より転載

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